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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科30巻4号

1995年04月発行

文献概要

特集 上位頚椎疾患―その病態と治療(第23回日本脊椎外科学会より)

上位頚椎疾患に対する前方進入法の適応と術式選択

著者: 斉鹿稔1 河合伸也1 淵上泰敬1 深堀勝之1 豊田耕一郎1 加藤圭彦1

所属機関: 1山口大学医学部整形外科

ページ範囲:P.483 - P.489

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 抄録:手術的治療を行った上位頚椎疾患85例のうち前方進入法を行った12例(男性10例,女性2例,年齢14~68歳)について有用性と問題点を検討した.疾患は,歯突起骨折4例,外傷性環軸関節転位2例,歯突起形成不全2例,転移性脊椎腫瘍2例,歯突起偽関節1例,リウマチ性環軸関節転位1例である.術式は,経口的前方進入法が6例であり,2例では下顎骨骨切り術を併用した.また,歯突起形成不全の2例では,前方進入法に先立って後方固定術を併用した.残り6例には咽頭外進入法(DeAndrade法5例,Whitesides法1例)を行った.前方進入法の欠点は,後方進入法に比較して2~4倍の手術時間を要した点である.また,経口的進入法では術後管理(口腔内洗浄,栄養補給および経口摂取,顎間固定,患者の苦痛)が,咽頭外進入法では複雑な解剖,除圧術や両側環軸関節の展開が困難である点があげられる.上位頚椎への前方進入法は,後方除圧術で対応できない症例に対して有用な術式であり,進入路と展開の面から経口的進入法が望ましく,抗生物質が発達した現在では術後感染の危険性は少ない.手技が煩雑である欠点に対しては,口腔外科医の協力を得れば解決でき,手術時間も短縮できる.広い術野が必要な場合には,下顎骨骨切り術の併用が有用である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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