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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科30巻4号

1995年04月発行

文献概要

特集 上位頚椎疾患―その病態と治療(第23回日本脊椎外科学会より)

頭部の慣性荷重による頚部運動の連続X線写真による分析

著者: 松下智康1 佐藤武1 平林洌2 藤村祥一3 朝妻孝仁3 小柳貴裕3 高取健彦4

所属機関: 1慶應義塾大学理工学研究科生体医工学専攻 2慶應義塾看護短期大学 3慶應義塾大学医学部整形外科 4東京大学医学部法医学教室

ページ範囲:P.521 - P.527

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 抄録:本稿では,低速衝突時に頭部の慣性荷重により頭頚部が受ける動的負荷のプロセスについて明らかにする.健常な成人26人を対象に,被験者を台車上シートに着座させ,振り子式の落錘を用いた加速衝撃による被験者の頭頚部の動的応答をX線シネで撮影し,フィルム解析を行った.その結果.低速度での被追突において,ヘッドレストレイントが装備されている限り,頚椎柱の運動は生理的可動範囲内にとどまる.通常の着座姿勢でも背中上部がシートバックから離れている円背または前かがみ姿勢の場合,頭頚部の後屈だけが起きるのではなく,後屈に先行して頚椎柱が直線化され前屈が生じる.同時に脊柱の突き上げにより頚椎に圧縮が作用し,頚椎長の短縮が生じる場合がある.他方,前面衝突においてシートベルト無しとシートベルト着用の場合とでは,頭頚部の動的応答は大きく異なる.シートベルト無しの状態では,頚椎柱の形状はほとんど変化しないが,シートベルト着用の場合,シートベルトにより胸部が拘束され,translationを主とする頚椎の前屈が生じる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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