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論述
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抄録:腰仙部退行性疾患に対する交感神経節ブロック(SB)の効果を,実験的・臨床的に検討した.実験的研究:雑種成犬10頭を用いて急性神経根圧迫モデルを作成し,SBを行った.SBにより,神経根ブロックと同様に,圧迫部の末梢側のみならず中枢側でも神経根内血流量の一時的な増加が認められた.臨床的研究:下肢症状を有する腰仙部退行性疾患41例を対象とした.SBにより,下肢温熱感(100%),下肢痛・しびれの軽減(約50%)が認められた.また下肢血流量(足底部)の増加,下肢皮膚温や深部温の上昇が,同時に認められた.これらの変化は一時的なものであったが,臨床症状の改善が長期に認められる症例が存在した.SBの治療効果は,高齢者,間欠跛行を呈す脊柱管狭窄(とくに馬尾型),罹病期間の短い症例に対して有用であると思われた.
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