icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科30巻5号

1995年05月発行

文献概要

臨床経験

t(12;22)染色体が認められた明細胞肉腫の1例

著者: 吉野恭正12 関根紀一1 金子安比古3 出雲俊之4

所属機関: 1埼玉県立がんセンター整形外科 2現:小川赤十字病院整形外科 3埼玉県立がんセンター臨床検査部 4埼玉県立がんセンター臨床病理部

ページ範囲:P.673 - P.676

文献購入ページに移動
 抄録:明細胞肉腫は20~40歳代成人下肢の腱や腱膜に好発するまれな軟部悪性腫瘍である.近年,悪性腫瘍と染色体異常との密接な関係が明らかになり,t(12;22)染色体が本症の特徴と考えられている.同染色体が認められた本症の1症例を報告する.本例は同染色体が認められた報告例として本邦初例と思われる.症例は25歳,女性.左膝の腫脹と左足のしびれがあり,左膝軟部腫瘍の診断にて当科を紹介された.腫瘍は長腓骨筋腱に存在し,組織学的には卵円形あるいは紡錘形の細胞で,淡明あるいは好酸性の細胞質を有し,メラニン顆粒が一部の細胞質内に認められた.染色体分析にて第12染色体長腕と第22染色体長腕との相互転座が認められた.本症はメラニン形成能を示す症例が多いことから,軟部悪性黒色腫と考えている人が多い.しかし皮膚に生じる悪性黒色腫の染色体異常としてt(12;22)染色体は認められていないことから本症と悪性黒色腫とは別々の腫瘍と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら