文献詳細
臨床経験
文献概要
抄録:胸椎部硬膜から発生した悪性黒色腫の1手術例を報告した.50歳男性で,初発症状は両側背部から腹部への帯状痛であり,2カ月後に歩行時のふらつきが出現した.5カ月後に当料に入院した.神経学的所見で,筋力低下はなかったが,T10以下の知覚鈍麻を認めた.また,挙睾筋反射が両側で消失していた.脊髄造影とMRIよりT7からT8にかねての脊髄背側の硬膜外腫瘍と診断した.MRI画像では,T1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号,T1強調Gd増強像で不均一な増強を呈し,悪性黒色腫に特徴的な所見を呈していた.手術により,硬膜の背側に被膜に覆われた黒色の腫瘍が確認された.その基部の硬膜は全周性に,かつ頭尾方向に長く黒色を呈していた.腫瘍塊のみを切除した.MRIは悪性黒色腫の組織診断には有用であったが,病巣の広がりを判定することは不可能であった.
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