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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科30巻6号

1995年06月発行

文献概要

臨床経験

脳室腹腔交通術により脊髄内の空洞の縮小が認められたChiari奇形I型合併の脊髄空洞症の1例

著者: 井須豊彦1 田中徳彦1 小林延光1 斉藤久壽1

所属機関: 1釧路労災病院脳神経外科

ページ範囲:P.771 - P.775

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 抄録:脳室腹腔交通術により空洞の縮小が認められたChiari奇形I型合併の脊髄空洞症の1症例を報告した.症例は20歳,女性であり,頭痛を主訴に来院した.神経学的には左側C5~Th6レベルにて温痛覚の低下(70%)が認められた.検査では,脳室系の著明な拡大,Chiari奇形1型,脊髄空洞症(C3~Th2レベル)と診断された.手術は脳室腹腔交通術が施行された.術後,頭痛は消失し,MRI上,小脳扁桃の頭側への挙上,空洞の消失が認められた.
 脳室腹腔交通術における空洞縮小メカニズムは,通常,シャント手術により脳室内圧の低下が起こり,obex部を介する中心管への脈圧の減弱が関与していると考えられているが,本症例では,以下のごとく考えられた.つまり,シャント手術にて,頭蓋内圧が減少することにより,脊椎管内へ下垂した小脳扁桃が挙上しcisterna magnaが形成され,それにより,大後頭孔部の髄液流通障害が改善したことが空洞縮小のメカニズムと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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