文献詳細
臨床経験
文献概要
抄録:骨原発の間葉性軟骨肉腫の1例について述べた.症例は48歳の女性,主訴は左大腿後面の痛みと左殿部の腫瘤であった.1976年頃より左大腿後面に痛みを感じ,近医で坐骨神経痛の診断にて加療されていたが,3年後の1979年1月になって左殿部腫瘤を触知するようになったため,当科を初診した.初診時,左殿部に直径約15cmの圧痛,熱感を伴う腫瘤があり,単純X線,CTにて仙腸関節近傍の左腸骨と仙骨に石灰化を伴った骨破壊像を認めた.生検にて細胞成分に富む部と軟骨島とからなる2相性パターンと,小円形細胞のHemangiopericytoma like patternを認め間葉性軟骨肉腫と診断した.46Gyの放射線療法とマイトマイシンC総量80mgの選択的動注を行い,一時的に症状は軽快した.しかし1980年11月,初診より1年10カ月で肺転移のため死亡した.間葉性軟骨肉腫では,化学療法や放射線療法の効果が一定でなく,体幹発生が多いという点が通常の軟骨肉腫より予後不良の一因と考察した.
掲載誌情報