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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科30巻8号

1995年08月発行

文献概要

基礎知識/知ってるつもり

ガラス・セラミック

著者: 山室隆夫1

所属機関: 1京都大学

ページ範囲:P.951 - P.951

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 人工的に作った非金属性の無機の固体で結晶を含む材料をセラミックと呼ぶので,広い意味ではガラス・セラミックもセラミックに含まれる.狭義のセラミックは結晶のみの集合体(多結晶セラミック)か単結晶セラミック(例えば人工サファイア)である.整形外科で広く用いられる多結晶セラミックとしてはアルミナ,ジルコニア,合成水酸アパタイトがある.前二者は生体内で化学的に極めて安定であるが,合成水酸アパタイトは生体内で極めて徐々に溶出して骨組織と結合する性質をもっている.しかし,合成水酸アパタイトは燐とカルシウムのアパタイト結晶であるので機械的強度が皮質骨に比べて低いうえに,溶出の速度が遅いので骨と結合するのに2カ月以上かかるという欠点がある.
 このような欠点を克服する目的で作られたのがガラス・セラミックである.例えば京都大学で開発されたセラボーンAWは酸化アパタイトとウォラストナイトという2種類の結晶とガラス相とからなる複合材料である,したがって,セラミックとガラスの両方の性質をもっている.ウォラストナイトと呼ばれるSiO2-P2O5-CaO系の結晶は機械的強度がかなり大きいので,この結晶を含むセラボーンAW自体もその機械的強度は合成水酸アパタイトよりも,また,人の皮質骨よりも大きくなっている.しかし,一方ではセラボーンAWはガラス相をもっているので,その溶出が合成水酸アパタイトよりも速く,短時間(4週間以内)で骨と結合する性質をもっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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