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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科30巻8号

1995年08月発行

文献概要

臨床経験

稀な発生機序により生じた外傷性股関節上方脱臼の1例

著者: 冨田文久1 大塩至1 畑山明広1 辻野淳1 近藤英司1 柳橋寧1 松野誠夫1 小熊忠教1 松野丈夫2

所属機関: 1美唄労災病院整形外科 2現:倶知安厚生病院 3北海道大学整形外科

ページ範囲:P.969 - P.972

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 抄録:稀な発生機序により生じた外傷性股関節上方脱臼の1例を経験した.症例は81歳の女性で,歩行中に右股関節を過伸展,内転強制され転倒し受傷した.単純X線写真上,右大腿骨頭は臼蓋の骨折を伴い外上方に脱臼していた.容易に徒手整復可能であったが,外旋位で再脱臼し不安定性が強かった.三次元CTでは臼蓋の骨片の転位,大腿骨頭の骨欠損が認められた.不安定性,年齢,早期離床を考慮し右人工股関節全置換術を行った.発生機序はEpsteinが述べた外転,伸展ではなく内転,伸展と考えられ,強靱な腸骨大腿靱帯の臼蓋付着部で骨折が起こり,骨頭が外上方に脱臼したと考察した.転倒という低エネルギー外傷により発生した原因は,高齢者で骨粗鬆症が存在したこと,腸骨大腿靱帯の臼蓋付着部に力が集中したことの両者が考えられた.三次元CTは骨折を立体的かつ多方向性にとらえることができ病態の把握に有用であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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