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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科30巻9号

1995年09月発行

文献概要

臨床経験

劇症型A群連鎖球菌による下腿壊死性筋炎の1例

著者: 神野哲也1 佐藤浩一1 野本栄1 渕岡道行1 松岡正1 古屋光太郎2

所属機関: 1済生会川口総合病院整形外科 2東京医科歯科大学整形外科

ページ範囲:P.1083 - P.1087

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 抄録:近年A群溶連菌感染の重症化例が注目されている.これらは軟部組織の壊死性炎症と多臓器障害とを特徴としtoxic shock-like syndrome(TSLS)と呼ばれる.今回われわれはTSLSに至った下腿壊死性筋炎の1例を経験し,早期débridementにより救命し得たので若干の文献的考察を加えて報告する.
 症例は32歳女性,誘因なく生じた強い左下腿痛を主訴に来院した.化学療法は効果なく左下肢は著明な腫脹をきたし,水疱,糜燗等の皮膚症状も認めた.またDIC,MOFに至る急速な全身症状の悪化も伴った.発症6日目に局所débridementを施行した結果,症状は急速に消退,壊死筋切除による下垂足を残すも約3カ月の経過で治癒した.組織学的には強い細胞浸潤を伴った広範な筋肉壊死であり,壊死性筋炎と診断された.また切除筋組織よりA群溶連菌が検出され,TSLSの診断基準に合致した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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