icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科30巻9号

1995年09月発行

文献概要

臨床経験

頚椎に発生した動脈瘤様骨嚢腫の1例

著者: 村田英之1 串田一博1 町田晃1 森田信敏1 井上哲郎1

所属機関: 1浜松医科大学整形外科

ページ範囲:P.1113 - P.1116

文献購入ページに移動
 抄録:症例は14歳,男性.誘因なく右頚部から上腕の痔痛が出現し受診した.右斜頚位をとり,神経学的には上腕三頭筋の軽度筋力低下以外異常はなかった.頚椎X線像では,第6頚椎の圧潰,融解性変化,右椎弓根の消失がみられた.CTでは椎体内部は空洞化し,椎体の右前方に膨隆性嚢腫が,右椎弓根と椎弓にc腫様変化がみられた.開放生検の2週間後,部分的腫瘍掻爬,圧潰部整復,腸骨を用いたC5-C7の前方固定を行った,術後7カ月時には骨化が現れ,2年半後には椎体内の空洞はほぼ消失し,3年の現在再発はない.
 脊椎に発生した本腫瘍の手術療法は,全切除が難しい,固定法に難渋する,易出血性などの問題をもつ.自然治癒例や開放生検のみでの治癒例が少なくないこと,不完全切除での再発率は高いが,再発しても再手術にて多くが治癒することを考慮すると,本症に対しては,腫瘍の全切除にこだわることなく,まず掻爬や部分切除を行うべきと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら