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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻1号

1996年01月発行

文献概要

基礎知識/知ってるつもり

DDH

著者: 山室隆夫1

所属機関: 1京都大学

ページ範囲:P.86 - P.86

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 【病因解明による呼称の変遷】
 いわゆる先天性股関節脱臼(先股脱)はラテン語ではLuxatio Coxae Congenita(LCC)と呼ばれ,英語ではCongenital Dislocation of the Hip(CDH)と呼び習わされてきた.ドイツ語ではSogenannte Angeborene Hüftgelenkverrenkung(いわゆる先天性股関節脱臼)と呼んで,本疾患が真に先天性であるか否かに対して疑義を呈してきた.しかし,1960年頃までは一般には本疾患は遺伝性かつ先天性の疾患であると信じられ,先股脱あるいは先天股脱,LCC,CDHと略称することが広く行われてきた.その後,本疾患の病因に関して多くの遺伝学的研究が行われたにも拘らず,その遺伝形式は解明されず,さらに,出生直後からの予防を広く実施すれば本疾患の発症率を激減せしめうることが日本において実証されたので,最近では,本疾患の素因として何らかの遺伝子の関与は考えられるものの,本疾患の実際の発症は先天性ではなく,むしろ周産期およびそれ以後の股関節の発育障害に起因すると考えられるようになってきた.
 このように,かつて本疾患の名称の中に用いられたcongenitalという言葉は本疾患の本質を示すものではないので用いない方がよいという考え方が国際的な意見として受け入れられ,さらに,股関節の発育障害が本疾患の主たる病因であるということを明らかにするためにもDevelopmental Dysplasia of the Hip(DDH)という名称を用いるべきであるという考え方が主としてヨーロッパにおいて1993年頃より強くなってきた.筆者自身も勿論CDHよりもDDHの方が本疾患の病因を正しく示した名称であると考えており,外国での講演では常にDDHの方を用いている.しかし,文献的にみてもこの名称は世界でまだ完全に受け入れられたわけではない,

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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