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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻10号

1996年10月発行

臨床経験

腰椎部硬膜内髄外に転移した胃癌の1例

著者: 尾崎智史1 伊藤茂彦1 錦見純三1 水野直門1 渡辺健太郎1 浦崎哲哉1 浜辺卓也1 室捷之1

所属機関: 1岐阜県立多治見病院整形外科

ページ範囲:P.1167 - P.1170

文献概要

 抄録:悪性腫瘍の脊椎への硬膜内髄外転移は稀であり,特に胃癌の報告は過去に見当らない.自験例は胃癌の手術歴を有する75歳の女性で,初診時の主訴は腰痛であったが,短期間に馬尾神経麻痺が急速に進行した.ミエログラムではL2レベル以下のくも膜下腔の著明な狭小化を認めた.MRIではT1強調画像やプロトン密度強調画像では馬尾神経が確認できず,T2強調画像では脊髄腔に斑状の高信号域をわずかに認めた.除圧目的でL3,L4の椎弓切除を行い,生検組織像から転移性胃癌の確定診断を得た.術後,疼痛は軽快したが麻痺は回復せず,発症から7カ月で死亡した.脳CTには転移巣がなく,本例はリンパ行性転移が最も疑われた.悪性腫瘍の脊髄硬膜内髄外転移の予後や治療指針は,原発病巣の組織型に依存すると考えられるが,生前に組織診断をつける意義は大きく,相対的手術適応があるといえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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