文献詳細
文献概要
ついである記・7
Hungary
著者: 山室隆夫12
所属機関: 1京都大学 2国際整形災害外科学会
ページ範囲:P.1262 - P.1263
文献購入ページに移動ハンガリーの人達は自分の国を「マジャール共和国」と呼ぶ.中央アジアに起原をもつといわれるマジャール(magyar)民族が何世紀にも亘ってウラル地方から東ヨーロッパの地をさまよい,遂にヨーロッパ大陸のほぼ中央に位置する大平原を征服して定住したのは896年であったと言われている.そして,1001年にイシュトヴァン1世によってマジャール国の建国をみたのである.ハンガリーの周囲の国々ではオーストリアを除けば,すべてスラヴ系の言葉が話されているのに,ハンガリー人だけが言語学的に全く系統の異なったマジャール語を喋るということからみても,この民族が比較的新しく中央ヨーロッパの地へ進出し,そこに新しい国を作ったことがうかがえる.さまよえるマジャール人の他の一団は現在のフィンランドの地に進出して定住したと言われる.したがって,現在のハンガリー語とフィンランド語はマジャール語という共通の起原を持つわけであるが,今では両者の話し言葉は互いにほとんど理解し合えない程にまで変ってきているという.現代のハンガリー人の容貌から彼等の祖先が人種的に中央アジア起原であることを想像することは聊か困難であるが,それでもよく見ると,中央アジア,蒙古,インド・アーリア系の起原を思わせる容貌をもった人達がかなり混っている.
掲載誌情報