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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻11号

1996年11月発行

文献概要

臨床経験

転移性骨盤腫瘍に対する体外照射にtissue expanderを応用した1例

著者: 濱田泰彦12 倉都滋之1 萩尾佳介1 荒木信人1 越智隆弘1 田中英一3 井上俊彦3 内田淳正4

所属機関: 1大阪大学医学部整形外科 2市立吹田市民病院整形外科 3大阪大学医学部放射線科 4三重大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1281 - P.1285

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 抄録:肝細胞癌の骨盤転移に対して,tissue expanderにて骨盤内臓器を照射野外に避け,従来よりも高線量の照射を行うことで良好な局所コントロールが得られた1例を報告する.症例は67歳の男性で,肝細胞癌の加療中,左股部痛が出現し,単純X線で左腸骨部に骨融解像を認めたため,肝細胞癌の骨盤転移と診断した.これに対し,50Gyの外部照射を施行したが腫瘍の縮小はなく,造影CTで腫瘍内部がenhanceされ,局所コントロールは不良と思われた.そこで,さらに追加照射して致死線量を与えることを考えた.その際最も重大な副作用である腸管障害を避けるため,tissue expanderを後腹膜腔内に留置して腸管を照射野より除外し,30Gyを追加照射した.この治療により下痢等の急性腸管障害は認めず,画像上腫瘍は50%に縮小し,内部も全体に壊死像を呈し,著明な骨形成像も認めた.最終照射後5カ月の現在,左股部痛は消失し,杖なしでの独歩も可能となり,ADLの著明な改善を認めている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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