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Lubrication(潤滑)の分類
著者: 岡正典1
所属機関: 1京都大学生体医療工学研究センター人工臓器部[運動器系]
ページ範囲:P.1364 - P.1365
文献購入ページに移動私達の関節はスケート滑走時の摩擦係数0.05よりも10分の1程低い,驚くべき低摩擦下に動いている.長時間起立や長時間疾走などの厳しい条件下で70年以上使用されても摩耗しない関節は工学者の目から見れば驚異の的であり,生体関節の潤滑機構を解明しようとする数多くの研究1,2)が報告されている.摩擦係数0.005という低摩擦は面接触のほとんど起こらない液体膜潤滑を考えないと説明困難であるが,関節液で満たされた空間で関節軟骨同志が接して行われる生体関節の潤滑には,工学的に説明し切れない,特殊な生物学的現象が関与しているのは確かである.
一方,人工関節最大の合併症“ルーズニング”に摩耗したポリエチレン粒子周囲の肉芽組織による骨吸収が関与していることが明らかになってから,人工関節の潤滑を考え直し,ポリエチレンの摩耗をいかに減らすかという課題も生じてきた.この稿のテーマは潤滑の分類とされているが,あくまでも関節の潤滑のみに限定して述べ,最後に人工関節の潤滑について述べる.
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