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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻3号

1996年03月発行

文献概要

視座

X線診断と病理組織像

著者: 松野丈夫1

所属機関: 1北海道大学医学部整形外科

ページ範囲:P.233 - P.233

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 整形外科領域で最も重要な診断法は単純X線写真による診断であり,外来患者の約80%は単純X線写真において最終診断が付けられていると言っても過言ではない.しかし,私自身最近の若い研修医のX線所見の読影法には若干の疑問を感じている.例えばX線写真を前にして,“これは腫瘍(例えば骨嚢腫)の写真ですが…”,“この変形性膝関節症の患者は…”などの唐突な表現が目立つ.少なくとも電話の向こうの相手に通じる様な表現をするべきと思う.即ち,まずそのX線写真が何歳の男性(女性)のどこの部位の正面(あるいは側面)写真であるという表現で始まり,ついで形態の異常,位置関係の異常,骨破壊などの部位・程度などの表現を行い,考えられ得る鑑別診断をすべてあげた上で,最終X線診断を下すべきである.また,鑑別診断に関しても,我々は単純X線写真の検討から導かれた最終診断以外のいかなる疾患とも鑑別診断を行うことが出来るべきであると思う.即ち,症例が仮にX線学的に典型的な骨肉腫だとしても,“もし問われれば”良性および悪性骨腫瘍を含むすべての骨疾患との鑑別点を擧げることが可能であるべきである.若い研修医の先生方には日頃からX線写真を前にして出来るだけ多くの鑑別疾患を思い浮かべる訓練をしてほしいものである.
 我々は単純X線写真の中に病理組織像を見なくてはならないと思う.X線像には細胞による骨形成,骨破壊等が影として表れているからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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