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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻5号

1996年05月発行

文献概要

論述

手関節三角線維軟骨複合体の変性像―鏡視所見,MRI所見,治療法について

著者: 中村俊康12 矢部裕1 堀内行雄1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部整形外科学教室 2藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院整形外科

ページ範囲:P.575 - P.582

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 抄録:手関節鏡で診断した手関節三角線維軟骨複合体(以下TFCC)の変性損傷例23例25手関筋を検討したところ,変性所見はdisc properの軟化,線維化,穿孔で,一部の症例にはslit損傷も認めた.abutment症候群は10手関節で,15手関節にはabutmentを認めなかった.TFCC変形を示す症例の多くはMRIでdisc内に水平高信号領域を認めた.また,われわれの組織学的検討からTFCC内部は疎な結合織で,回内外運動中に生じるTFCCの変形を吸収し,その際損傷を受ける可能性が大きいと考えられた.したがって,TFCCの変性はその原因として考えられていたabutmentがなくとも,TFCCの水平断裂を基盤として生じると推測される.TFCC内部に損傷が生じ,手関節鏡ではTFCC遠位面の観察しかできないことから,TFCC変性の診断は関節鏡のみでなく,MRIなどを加味して行うことが奨められる.また,治療成績から,TFCC変性の治療には除圧と同時に支持性の獲得を期待できる尺骨短縮術が望ましい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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