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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻5号

1996年05月発行

文献概要

臨床経験

神経根内に脱出した腰椎椎間板ヘルニアの1例

著者: 津田英一12 山内正三1 荒木徳一1 黒川智子1 三井博正1

所属機関: 1青森市民病院整形外科 2弘前大学医学部脳神経疾患研究施設リハビリテーション部門

ページ範囲:P.661 - P.664

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 抄録:神経根内に脱出した腰椎椎間板ヘルニアの1例を経験した.症例は71歳,女性.左下肢痛を主訴として受診,左下肢の筋力低下と知覚鈍麻を認めた.MRIでL5/S1高位に左S1神経根に近接する腫瘤が認められた.腫瘤はT1強調画像にて等~高輝度を呈し,Gd-DTPAによるenhanced MRIでは腫瘤周囲に増強効果が認められた.遊離型ヘルニアの診断にて手術を行ったが硬膜外腔にヘルニアはなく,左S1神経根は腫大し腹側で硬膜が後縦靱帯と癒着していた.神経根部で硬膜を切開すると径3~5mmの腫瘤が数個出現し容易に摘出できた.病理組織診断は肉芽組織を伴った変性髄核組織であった.神経根内に脱出したヘルニアの報告はきわめて稀で,Barberáら(1984年)が報告して以来5例に過ぎない.髄核の突出によって生じた慢性炎症のため硬膜と後縦靱帯が脆弱化し,髄核がこれらを貫いて脱出したものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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