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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻6号

1996年06月発行

文献概要

基礎知識/知ってるつもり

Impingement Syndrome

著者: 信原克哉1

所属機関: 1信原病院・バイオメカニクス研究所

ページ範囲:P.722 - P.723

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 【概念と変遷】
 impingementという外来語が未消化のまま肩関節領域で乱用されている.本来,これは衝突・轢音・ひっかかりなどの義で,臨床上impingement syndromeとは上肢挙上に際して腱板修復部の膨隆,大結節の転位変形治癒,肩峰下滑液包の石灰沈着などが,肩峰・鳥口肩峰靱帯・鳥口突起からなる天蓋と衝突して起きる症候を指している.その症状は弾撥を含む機能制限と自発・運動痛で,摩擦と衝突による炎症,拘縮や癒着による機能障害,骨頭の上方移動,石灰沈着などが病理と考えられている.
 良否は別として,1983年にNeerの発表した論文“lmpingement Lesions”が,その病態を三つのstageに分け,Codmanの肩峰下滑液包炎(1934),Batemanの腱板炎(1955),さらに腱板断裂までを包括したことから混乱が始まった.さらに,Matsen Ⅲ(1992)らはsubacromial impingementとは“腱板が肩峰下機構でencroachmentされる病態”と定義して肩関節周囲炎までをその範疇に入れた.こうしてimpingementはどの病態を示しているのか不明確なまま,肩疾患の屑籠的診断名として用いられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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