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文献概要
臨床経験
人工骨頭置換術後に残存スクリューによる広範なmetallosisを生じた1例
著者: 大河原三穂1 長尾正人1 皆川裕樹1 舛田和之2 久木田隆3
所属機関: 1札幌医科大学整形外科 2市立赤平総合病院整形外科 3くきた整形外科クリニック
ページ範囲:P.761 - P.763
文献購入ページに移動症例は60歳男性.約20年前,両大腿骨頭壊死の診断で両人工骨頭置換術が他医にて施行された.ただし右側は,人工骨頭置換術前に,大腿骨骨切り術も行われていた.以後肉体労働に従事していたが,転倒を機に両股関節痛が出現した.臨床所見および画像所見より人工骨頭のゆるみと診断した.3カ月後右側再置換術時に,広範なmetallosisと,大腿骨骨切り術の際に使用したと思われる残存スクリューの著明な摩耗を認めた.病理組織所見では,大腿骨皮質側の滑膜様組織に金属粒子を,人工骨頭のセメント側の滑膜様組織には異物反応が観察された.骨-セメント間のゆるみにより人工骨頭とスクリューが接触し,その摩耗によって生じた金属粒子が,metallosisの原因になったと推察された.
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