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論述
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抄録:筆者らは指屈筋腱腱鞘ガングリオンが疑われた24例に対して超音波検査を施行した.超音波断層像において境界明瞭な楕円形で内部均一な無エコー域を示す腫瘍像は17例に存在した.15例に穿刺を行い,13例でゼリー状内容液を吸引した.2例は穿刺に失敗し,外科的に摘出した.確定診断は全例が腱鞘ガングリオンであった.超音波断層像が上記以外の異常エコーを示す腫瘍像は4例あり,摘出後の病理診断では腱鞘ガングリオンが2例,神経鞘腫が1例,腱鞘巨細胞腫が1例であった.今回の結果より,臨床所見で腱鞘ガングリオンが疑われても他病変の場合があること,小さな腱鞘ガングリオンでは穿刺手技に失敗する場合があることが明らかになった.腱鞘ガングリオンの診断における超音波検査の敏感度は89.5%,特異度は100%であった.超音波検査により,腱鞘ガングリオンの診断率が向上し,無用な穿刺や手術が避けられ,確実な治療結果が得られる.
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