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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻7号

1996年07月発行

文献概要

最新基礎知識/知っておきたい

接着分子(adhesion molecule)

著者: 岩本幸英1

所属機関: 1九州大学医学部整形外科

ページ範囲:P.840 - P.842

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 細胞接着には,細胞-細胞外マトリックス接着と細胞-細胞接着があり,生物の基本的な生命現象である細胞の分化,増殖,アポトーシス,形態形成,個体発生や,免疫反応,慢性関節リウマチをはじめとする炎症,血液凝固.癌の転移などの病態に細胞接着分子が関与している.通常,狭義の細胞接着分子とは,細胞表面に存在して細胞接着に役割を果たす細胞膜貫通性の糖蛋白あるいは膜構成糖脂質のことを示す.現在までに多数の細胞接着分子が発見されているが,これらは表1に示すように構造的にいくつかのファミリーに分類することができる1).狭義の細胞接着分子以外にも,細胞外マトリックス構成成分であるラミニン,ファイブロネクチン,ビトロネクチンなどが細胞接着に関与しており,広義の細胞接着分子といえる.細胞接着分子は通常,結合する相手(リガンド)を複数もっていること,また,個々の細胞には多種類の接着分子の発現がみられ,特定の細胞接着現象においても複数の接着分子が関与していることが知られている.個々の接着分子のリガンドへの結合は弱く,実際の細胞接着においては,多種類の接着分子が接着部位に集積することにより多くの接着分子とリガンドの結合が成立し,強固な細胞接着が得られる.これは,ひとつひとつの噛み合わせは弱いが多数の噛み合わせにより強い接着が得られるマジックテープに似ているので,“マジックテープの原理”と呼ばれる.表1に示した細胞接着分子ファミリーについて解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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