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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻7号

1996年07月発行

文献概要

臨床経験

ガス産生菌感染による腸腰筋膿瘍の1例

著者: 加藤宏1 片山裕視1 松崎英剛1 水上慎一1 大友康裕1 辺見弘1 杉浦知史2 松本不二生2 小林陽二2

所属機関: 1国立病院東京災害医療センター救命救急センター 2国立病院整形外科

ページ範囲:P.883 - P.885

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 抄録:腸腰筋膿瘍は近年では稀な疾患となっている.今回,大量のガス産生のみられた難治性の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告した.症例は60歳男性で,高熱と左鼠径部痛にて入院となった.臨床症状と画像所見から敗血症を伴ったガス産生菌感染による腸腰筋膿瘍と診断し,直ちに抗生物質投与と外科的排膿処置を行ったが,寛解・増悪を繰り返し,感染を鎮静化させるまでに長期の治療期間を要した。血液と膿培養では黄色ブドウ球菌のみが検出されたが,同菌はガスを産生しないため,ガス産生菌との混合感染による非クロストリジウム性ガス壊疽と考えられた.本症は臨床症状と画像所見から容易に診断可能であるが,本例のように治療が遅れると重症化することがあるため,股関節周辺部の化膿性炎症疾患の1つとして常に念頭におく必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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