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視座
「1+1=2」以上の治療成果を挙げるには……
著者: 富田勝郎1
所属機関: 1金沢大学整形外科
ページ範囲:P.999 - P.1000
文献購入ページに移動私の母(といってももうすぐ90歳になるが)が昨年の春,重症の肺炎で危篤状態に陥った.熟練した内科医,看護婦さんたちが吸引,タッピングなどで痰や誤嚥物の除去に務めてくださった.しかしすでに食べることはおろか,自力で痰を喀出することすらできないまでに体力が消耗し切っており,精も根も尽き果てた本人は「もう十分に人生を生きてきたんだから,もうここいらで楽にしてくれ」と訴えた.が,「まだまだ長生きしてもらわないといかん.今はそれが親の務めなんだよ」と励まし続けた,老母はこの「親の務め」という言葉を聞くたびに,もうろうとした目をカッと見開いて再び全力をふりしぼって痰をだした.その甲斐あってか奇跡的に回復した.
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