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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科31巻9号

1996年09月発行

文献概要

臨床経験

分娩後の仙腸関節部痛―仙骨疲労骨折を疑った1例

著者: 小林良充1 黒沢良和2

所属機関: 1聖隷浜松病院整形外科 2聖隷浜松病院放射線科

ページ範囲:P.1057 - P.1059

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 抄録:仙腸関節部痛で来院した産褥期の婦人の,MRIで仙骨疲労骨折が疑われた1例について報告する.症例は26歳の女性で,3400gの男子を出産した直後から腰痛が出現した.初産で,所要時間が22時間の正常分娩だった.産後2週間の初診時所見では,右側仙腸関節部に圧痛がみられ,パトリックテストなどの誘発テストで陽性,右側片脚起立が困難で,神経症状はなかった.骨盤部X線像で骨粗鬆症変化などの異常はみられなかった.産後4週で施行したMRIでは仙骨右側にT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号の部位を認め,それぞれに低信号の「骨折線」がみられた.安静を指示し,症状は3カ月で軽減した.現在まで妊娠・分娩の関与が推測される骨盤部の疲労骨折は数例の報告をみるのみで,うち仙骨疲労骨折は1例であった.本例は産褥期の腰痛の原因として,仙骨疲労骨折の可能性もありうることを示唆した症例であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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