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論述
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抄録:腰部脊柱管狭窄を呈する113例に対して,redundant nerve roots of cauda equina(以下,RNR)と腰部脊柱管狭窄の関係について,X線学的,臨床的に検討した.画像所見では,RNRは脊柱管の狭窄が高度な症例や多椎間に狭窄が存在する症例に高率に合併していた,しかし,脊柱管狭窄の程度が同じ症例で神経根障害の症例と馬尾障害の症例を比較してみると,両者のRNRの合併頻度に有意差は認められないことより,RNRを合併するからといっても必ずしも馬尾障害を呈するとはいえない.また,神経障害型式が同じ症例同士では,RNRの合併の有無により安静時におけるしびれの合併頻度に有意差は認められないことより,腰部脊柱管狭窄ではRNR自体の症状発現への関与は小さいことが示唆された.以上の結果から,RNRの臨床的意義は脊柱管狭窄の程度が高度であることを単に示しているに過ぎないのではないかと考えられる.
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