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ついである記・17
三たびHungary
著者: 山室隆夫12
所属機関: 1京都大学 2国際整形災害外科学会
ページ範囲:P.1156 - P.1157
文献購入ページに移動ハンガリーは紀元1001年の建国以来1,000年近くに亘って繰り返し外国の軍隊によって支配され,富を搾取され続けてきたためか,庶民は一般に貧しい生活を強いられてきた.そして,その抑圧の中で彼等は独特の同族意識を育ててきたように思われる.彼等の同族意識は外敵に対して結束して抵抗するといった点だけでなく,私達のような外来者に対して皆で協力して面倒をみるというような点で今も根強く残っている.
1995年5月より私が客員教授として約3ヵ月間の予定で家内と共にハンガリーに滞在したとき,たまたまスペインやポルトガルを一人で旅行していた私達の息子が旅の最後にハンガリーへも行くと言ってきたので,私達はブタペストで落ち合うことになった.私達のハンガリー滞在の世話をしてくれていたペーチ医科大学のゾルタン君にそのことを伝えると,彼は私達親子三人が久し振りに水入らずで一緒に週末を過ごすのが良かろうと考えてくれたようで,ブタペストの郊外の静かな住宅地に一軒の家を借りてくれた.立派な家であるのに宿泊費があまりにも安いのでその理由を尋ねると,ゾルタン君の妻のお父さんの学校時代の同級生でサボー氏という人の弟の家だそうで,たまたま,その弟一家は旅行に出ているから光熱費程度の費用を拂ってくれれば自由に泊まってよいということであった.
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