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シンポジウム 腰椎変性疾患に対するspinal instrumentation―適応と問題点―
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抄録:腰椎の変性疾患66例(変性すべり症49,脊椎症10,椎間板ヘルニア5,その他2)に対して,選択的除圧術を行いGraf systemを設置した.術後経過平均27カ月における手術成績は,優と良を併せた症例が58例(88%)であり,良いものであった.しかし,不安定性の高度な症例では成績が不良であり,脊椎固定術が適応と考えられた.手術前後のX線学的検討から,Graf systemは,1)設置椎間の前弯を増強させ,後方開大を消失させる,2)椎体すべりと側弯の矯正には無効である,3)すべり椎体の矢状面での不安定性を減少させる,4)腰椎全体および設置椎間の矢状面可動域を減少させる(前屈の制限)ことがわかった.すなわち,Graf systemは設置椎間の矢状面での制動効果を有していた,良好な手術成績とX線上の制動効果から,Graf systemが固定術の一部の代用となる可能性が示唆された.
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