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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科32巻12号

1997年12月発行

文献概要

視座

医療費の使い方

著者: 八百板沙1

所属機関: 1八百板整形外科医院

ページ範囲:P.1349 - P.1349

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 わが国の平成7年医療費は27兆9577億円に達し,国民所得の伸び18%を遥かに超える7%と発表された.政府は医療費を押さえ込もうと躍起になっている.医療費削減の合理性,削減方法の適切性等は議論されず,まず採られた方法は「新指導大綱・集団的個別指導」なる珍妙な言葉と方法,そして平成9年9月の削減実行である.これらは現場の混乱を全く無視した机上の空論の最たるものである.
 マスコミの医療費叩きはもっとえげつない.たまたま発生した某病院の不正事件を足掛かりに,A新聞は一面トップで,「医療費2000億円過剰支払い」「架空診療や不必要な投薬」.内容を読むと多分「査定」を指しているのであろう.これは不正や架空ではなく「間違い」である.意味が全く違う.これら報道の仕方は悪意に満ちたものと言わざるを得ず,さらに「レセプトは金券」の記事に至っては木鐸の名を辱めるものである.「老人カルテ選び改竄」「患者の死後も通院」と,医療機関が「架空請求」「付増請求」をしているのは「もはや常識だ」とする.極端な例を一般の如くに見せかけるジャーナリストの悪弊である.整形外科では「消炎鎮痛処置」や「牽引」は水増し医療にはもってこいだと悪の温床の如くに宣伝する.このように医師はすべて詐欺師,病院はすべてインチキ治療をしていると宣伝して医療不信を煽るのは,わが国の医療全体から見て,どれほど不幸なことだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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