icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科32巻12号

1997年12月発行

文献概要

連載 整形外科philosophy・9

疼痛ケアの出発点と新世紀

著者: 辻陽雄1

所属機関: 1富山医科薬科大学医学部

ページ範囲:P.1399 - P.1401

文献購入ページに移動
 痛みは人間の生存にとって大切な知覚であり,体を守る一つの警告信号と解釈されている.ところが逆に,痛みはときとして人を苦しめる.痛みは人類の宿命的で最大の苦痛でもある.約1,700年ごろDryden J.は次のように言っている.「人の得る幸せとは楽しみの中にあるのではなく,痛みのない安らぎの中にある」と.
 すでに哲学者Aristotelés(BC384-322)は痛みというものは情緒であると解釈した.ところが,Descartes(1596-1650)は痛みは情緒ではなく,知覚であると結論したのである.確かに痛覚の刺激を専門的に伝達する神経線維,すなわちA-δおよびC線維の存在が後に明らかにされているから,痛みは知覚であることは真理であるが,私達が痛みを認知するのはあくまで大脳においてであるから,痛みは情動として捉えるべきと私も思う.気の持ちようで痛みの強さや感じ方も変わるのも現実である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら