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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科32巻12号

1997年12月発行

文献概要

臨床経験

陳旧性後十字靱帯損傷例の靱帯修復状態とMR像の検討

著者: 秋末敏宏1 黒坂昌弘1 吉矢晋一2 黒田良祐1 水野耕作1

所属機関: 1神戸大学医学部整形外科学教室 2明和病院整形外科

ページ範囲:P.1445 - P.1449

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 抄録:後十字靱帯(PCL)損傷膝では,受傷時に明らかな不安定性を認めるにもかかわらず経過とともに後方押し込みで,hard end pointが出現する例があり,PCL損傷後の治癒過程の特異性を示すものではないかと考えられる.今回,後方押し込みに際するhard end pointの有無,およびMRIによる損傷PCLの治癒状態と,膝不安定性の相関を検討した.後方押し込みの最終時点で抵抗のある,いわゆるhard end pointを呈したものは,73%(38例)であった.これらの症例では膝900°屈曲位でのKT-1000による前後方向移動量は,平均6.4mmであり,hard end pointの消失した例での平均移動量12.0mmと統計学的に有意差を認めた.また,MR像において,PCLの走行に一致して連続性のある低信号領域を認めた39例の移動量は平均6.9mmであり,連続性のない13例の平均移動量11.1mmと統計学的に有意差を認めた.以上の結果より陳旧性PCL損傷例では何らかの治癒機転が働き,PCLの連続性を獲得する例が多く,膝不安定性や機能的予後に影響を与えているのではないかと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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