icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科32巻2号

1997年02月発行

雑誌目次

視座

研究の手順

著者: 清水克時

ページ範囲:P.111 - P.111

 研究をはじめるには以下のような手順を踏むのが良いと一般に信じられています.①研究課題をもらう,あるいは探して見つける.②この課題について現時点でどこまでわかっているか,知識を整理する.③先輩や指導者に相談し忠告をもらう.④文献を調べる.⑤研究計画を練る.⑥研究を進めながら繰り返し文献を読み,研究計画を検討,修正する.すなわち,十分な文献的検索を行った後,計画をたてて研究をすすめ,再び文献的知識により研究の方向を修正するという考えです.しかし,これまで私が師から学び,自分や同僚の研究生活を見聞し,自分が研究を指導した少ない経験から得たところでは,このような手順を踏むとオリジナルな研究が生まれることは少なく,逆に文献の森に足がすくんでしまって,挫折することのほうが多いように思われます.研究とは文献に書いてないことを発見し,それを文献にすることです.文献をいくらたくさん読んでも新しいことは生まれてきません.むしろ文献的知識が不足していたり,あるいは思い違いをしていて新しい発見が生まれることすらあります.研究は多くの場合計画通りには行きません.自分のめざしていた方向とちょっとはずれたところにある奇異な事象に気づき,それに素朴な疑問と興味をもつことから新しい発見が始まります.奇異な事象を見逃さないように,体を動かしながら感性を常にとぎすませておくことが必要です.先に文献を読みすぎると,このような感性が疲労困憊してしまうおそれがあります.

シンポジウム 脊柱側弯症に対する最近の手術療法

脊柱側弯症に対する最近の手術療法―Cotrel-Dubousset instrumentation

著者: 瀬本喜啓

ページ範囲:P.113 - P.118

 抄録:フランスのCotrelは,Harrington法とLuqueの考え方を取り入れ,さらにrodを回転することで脊椎のderotation効果が期待できる,より強固で三次元的な矯正が可能なCotrel-Dubousset instrumentation(以下CDI)を開発した.本稿では,主に学童期ならびに思春期特発性側弯症例に対しCDIを用いた107例の手術療法とそれ以外の手術療法の成績とを比較した.CDIの矯正率は他の方法と比べて優れており,平均58.2%であった.しかし,手術時間が長くかかるため出血量が多い点に問題があり,今後の課題である.CDIは,現在数多く開発されている脊柱変形に対するspinal instrumentationの原型であり,いまだにCDIの手術理念を越えるinstrumentはない.新しく市場に出るinstrumentは様々な改良が加えられてはいるが,基本となる手術理念は変わっておらず,CDIの手術手技に通ずれば他のinstrumentの使用に際して全く困難を感じることはない.他の手術療法と比較したCDIの臨床成績を述べた.

脊柱側弯症に対するIsola法

著者: 鈴木信正 ,   小野俊明

ページ範囲:P.119 - P.126

 抄録:Isola法の側弯矯正原理は,distraction,compression,derotation,translationの4つの矯正力を適切に,かつ段階的に組み合わせ,最大の矯正を得ることにある.最大の矯正を得るには,矯正力を加えていく順序が重要である.術中に水平面に垂直に牽引力を加える垂直牽引法は胸椎前弯の矯正にはきわめて有効な操作である.Lsola法を施行し,術後2年以上経過した側弯症例78例を検討対象とした.手術時間平均は4時間40分,出血量平均は989g,Cobb角は術前平均が63°,術後は28°,矯正率平均は57.8%であった.胸椎後弯角は,術前平均34.8°,術後36.0°,腰椎前弯角は術前平均38.5°,術後40.1°と矢状面生理的弯曲の保持,矯正は良好であった.合併症発生率はHarrington群では6%にすぎないがIsola群では14%と有意に高かった.
 Isola法はHarrington法の改良型といえ,Harrington法に比し体幹変形矯正効果は優っており,側弯症手術の第一選択として良い.

脊柱側弯症に対するChiba Spinal Systemの治療成績の検討

著者: 南昌平 ,   北原宏 ,   守屋秀繁 ,   中田好則 ,   高相晶士 ,   井上雅俊

ページ範囲:P.127 - P.135

 抄録:open hookを用いてmultiple hookを設置することにより,改良を加えたChiba Spinal System(CSS)あるいはParagon systemの治療成績を検討した.対象は術後1年以上経過した88例であり,側弯矯正率はstage手術群の16例では最終矯正率は50%,一期手術群の72例で47%,うち特発性の51例で49%であった.側面像ではstage群で術前42°が37°となり,一期手術群で7°の後弯増大を得た.CTによる頂椎回旋度では24%のderotation効果が認められ,モアレによるcosmesisの評価においても,客観的に改善が示された.また理想的な固定範囲を求めて,2方向同時X線撮影コンピュータ三次元形状解析システムを用いたCSSによる手術シミュレーションを行い,最も良い上位カーブ固定範囲最下位椎hook設置部位はstable vertebraeであることが示された.本法の臨床成績の検討にて,従来に比して成績が著しく向上し,有用であることが認められた.

前方instrumentationによる脊柱側弯症の治療

著者: 庄野泰弘 ,   金田清志 ,   佐藤栄修 ,   鐙邦芳

ページ範囲:P.137 - P.144

 抄録:多椎間固定用の新しい前方instrumentationを用いて胸椎側弯24例,胸腰椎・腰椎側弯28例に前方単独矯正固定術を行った.固定範囲はmajor curveを越えることはなく,側弯矯正率は胸椎側弯で71%,胸腰椎・腰椎側弯で83%であった.頂椎の回旋変形矯正率は,胸椎側弯42%,胸腰椎・腰椎側弯86%であったが,胸椎側弯で肋骨頭関節の切除と椎体の減捻操作を導入することで回旋変形の矯正率は58%まで向上した.また,後方法では困難である高い回旋変形の矯正により,矢状面アライメントの良好な改善が得られた.脊柱側弯症に対する前方矯正固定術は,効率の良い3次元的矯正を短い固定範囲で達成可能であり,強固な前方instrumentationの使用にて,矯正率の向上,矯正損失の減少,骨癒合率の向上が得られる.

多椎体楔状骨切り術による特発性側弯の矯正

著者: 小島龍也 ,   黒川高秀 ,   丸山徹 ,   鴇田律

ページ範囲:P.145 - P.151

 抄録:特発性側弯など脊柱変形に対する手術療法の正統はインストルメンテーションによる矯正とその矯正位における脊柱固定である.しかし,脊柱固定は明らかに非生理的である.手術適応とされる特発性側弯の全てに脊柱固定が必須とは考え難い.脊柱を固定しない側弯の矯正術式を開発する必要がある,われわれは脊柱を固定しない側弯矯正術式として,椎体を楔状に骨切除し生じた空隙を閉じて椎体の形を変えることによる側弯矯正を試行した.術後経過が1年を超えた症例は13例あり,経過観察期間は最長7年8カ月,全例骨成熟に達した.この13例中,術後に側弯の進行があり再手術を要した症例が2例,矯正不良のため今後の経過によって脊柱固定の追加を考慮する症例が3例あったが,それ以外の8例は経過から今後側弯の進行の可能性はちいさいと考えた.多椎体楔状骨切りにより側弯を矯正し,その矯正を維持できた症例があった.適応を選べば本術式は特発性側弯に対する手術法の選択の一つであり得る.

脊柱側弯症手術療法の今後の展望

著者: 山本博司 ,   沢本毅

ページ範囲:P.153 - P.159

 抄録:脊柱側弯症に対する手術療法も,C-D法などposterior derotation systemが登場して,“第二世代”に入ったといえよう.
 私たち高知医科大学でも1989年より,posterior derotation systemを用いて,従来のHarrington法やsegmental spinal instrumentation法よりも優れた成績を挙げている.しかし,回旋変形の矯正には不満を残し,脊柱バランスの改善に問題のある症例もある.

講座

認定医トレーニング講座―画像篇・8

著者: 高橋和久 ,   守屋秀繁

ページ範囲:P.161 - P.163

症例 62歳,女性
 6年前から腰痛増強,2年前から両側下肢痛しびれが増強し,初診時には歩行距離10mで両側下肢痛しびれが増強するようになり,1~2分の休息にて再び歩行可能となるようになった.図1に腰椎X線像を示す.

基礎知識/知ってるつもり

Sublimis minus変形

著者: 平山隆三

ページ範囲:P.164 - P.165

 【用語の意味】
 Sublimis (superficialis) minus変形は浅指屈筋の機能障害により,指伸展時にMP関節屈曲位,PIP関節が過伸展位,DIP関節が屈曲位となるzig-zag変形でいわゆるswan-neck変形である.この変形は外傷や手術により浅指屈筋腱が切除された場合などに起こる(図1).

整形外科philosophy

整形外科勤務医のあり方―その役割,課題と21世紀への展望

著者: 片岡治

ページ範囲:P.167 - P.172

 近年の急速な医学の発展は医療の現場においても著しい細分化を導き,医療の超専門化や医療機関の役割分担などの新しい変革をもたらしている.そして患者の病院指向が高まるにつれて勤務医の役割は増加と複雑化の一途を辿っている.この事実を踏まえて,現在の勤務医の実態と来るべき21世紀での整形外科勤務医のあり方について述べてみたい.

整形外科英語ア・ラ・カルト・52

整形外科分野で使われる用語・その19

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.174 - P.175

●gauze(ゴーズ)
 これは医療用に使う目があらく柔らかな綿布のことで,消毒して傷の処置や包帯や使う「ガーゼ」のことである.“Gaze”(ガーゼ)はドイツ語であり,英語の綴りとは少し異なる.この“Gaze”はフランス語に由来しており,さらに語源はガーゼの布地が,パレスチナの“Gaza”(ガザ)で作られたから,この名前があるという.このことは以前にも本誌で触れたが(31巻7号,p. 837,1996年),“Gaza”という地名は,最近は「ガザ地区」の名前でテレビによく登場する.またガーゼはアラビア語の生糸を意味する“gazz”にも由来するという.「ガーゼ」を意味するとき,米国ではこの“gauze”という言葉はほとんど使わない.英語ではガーゼのことは正しくは“gauze sponge”であるが,“gauze”の部分を省略し“sponge”(スポンジ)だけを使う.ガーゼで血を拭いたり,液体を吸いとるので,“sponge”(29巻6号,p. 725,1994年)という.またこのガーゼで血や液を拭いたり,吸い取ったりする動詞形も“sponge”という.
 手術を終了した時点で,使用したガーゼを手術野に残さないようにするが,手術後に使用したガーゼを数えることを“sponge count”といい,勿論整形外科の手術のときにも行う.

ついである記・10

偉大なるイタリア

著者: 山室隆夫

ページ範囲:P.176 - P.177

 イタリアは言うまでもなく古い歴史と優れた芸術を誇る国である.したがって,古くよりイタリアへ行くことは洋の東西を問わず多くの人々の夢であった.私も1986年以来10年間に6回もイタリアを訪れたが,この国の文化や国民性は理解に苦しむことが多かった.それは一言で言えば,深い文化と軽薄な文化とが混在し,また,尊敬に値する人々と侮蔑の対象としかならないような人々とが共存する極端に複雑な社会であるからだろう.

臨床経験

リスフラン関節症に伴う長母趾伸筋腱皮下断裂の1症例

著者: 北西正光 ,   長谷川潔 ,   岩崎圭至 ,   竹口輝彦

ページ範囲:P.179 - P.182

 抄録:リスフラン関節(足根中足関節)の変形性関節症によると思われる長母趾伸筋腱皮下断裂の症例を経験したので報告する.症例は67歳女性,1989(平成元)年頃より左足背の膨隆と歩行時の疼痛を自覚していたが放置していた.1995(平成7)年11月2日坂道の上りを自転車を押して勢いよく歩いた時,急に左足背に激痛を認め,左母趾の背屈が不可能となったため当科受診した.初診時X線像では足根中足関節に関節裂隙の狭少化と骨硬化像,背側に骨棘形成を認めた.リスフラン関節症と同部における長母趾伸筋腱皮下断裂の診断にて第7病日に第1中足足根関節の骨棘切除と腱縫合術を施行した.術後6週間ギプス固定を行い,術後12週目には母趾可動域制限はなく,創部に疼痛もなく主婦業に復帰している.
 本症例は第1中足足根関節の骨棘による長期の機械的刺激が直上を走行する長母趾伸筋腱に加わったことにより同部分が脆弱化し,軽微な外力で断裂が生じたと推測した.

鎖骨遠位端烏口突起下脱臼の1例(Rockwood Ⅵ型)

著者: 村上英樹 ,   島巌 ,   国下正英 ,   高橋啓介 ,   川北哲 ,   中山博文 ,   永嶋恵子

ページ範囲:P.183 - P.185

 抄録:鎖骨遠位端が烏口突起の下方に転位する肩鎖関節烏口突起下脱臼(Rockwood Ⅵ型)の極めて稀な1例を経験した.発症の機転としては,上腕への強い外転力と,肩甲骨への強い後方牽引力が加わった際に生じるものと考えられており,その強い外力のために多発外傷を合併することがほとんどである.本例においても重度の胸部外傷を合併していた.治療は観血的整復固定術の絶対的適応と考えられ,われわれはKirschner wireで肩鎖関節を固定し,Leeds-Keio人工靱帯にて補強した.予後に関しては,合併損傷をうまくコントロールできれば,肩鎖関節烏口突起下脱臼自体の予後は良好であると考えられる.

傍脊柱筋内にdesmoid腫瘍を合併したGardner症候群の1例

著者: 巣瀬忠之 ,   石川誠一 ,   野本努 ,   高橋美徳 ,   菊池達哉 ,   保坂登

ページ範囲:P.187 - P.190

 抄録:傍脊柱筋内にdesmoid腫瘍を合併したGardner症候群の1例を経験した.
 症例は24歳女性.左腰背部の腫瘤を主訴に来院した.左腰背部に6×8cm大で表面平滑,弾性硬の皮下腫瘤を認め,手術を行った.腫瘍は一塊にして摘出可能であり,病理学的所見では,良性のextraabdominal desmoidと診断された.家族歴,既往歴から本症例は家族性大腸ポリポーシスに傍脊柱筋内desmoid腫瘍を合併したGardner症候群と診断した.術後10カ月の現在,再発は認めていない.Gardner症候群に合併するdesmoid腫瘍は,腹壁外からの発生の報告例は少なく,また,傍脊柱筋内の発生はきわめて稀である.

膝前面に発生した血管平滑筋腫の検討

著者: 土田敏典 ,   北野喜行 ,   堀本孝士 ,   砂山千明 ,   長浦恭行

ページ範囲:P.191 - P.193

 抄録:膝前面に発生した血管平滑筋腫の3例を経験したので,MRIの術前診断としての有用性について考察した.
 症例は男性3例で,膝前面に弾性軟の腫瘤を認め,2例に圧痛を認めた.全例局所麻酔下に腫瘍を摘出し,術後平均5年の現在全例再発を認めていない.病理学的には,充実型の血管平滑筋腫であった.1例にMRIを施行し,T1強調像で低信号,T2強調像で周辺が高信号に描出され,内部が不均一な中等度から高信号に描出され,Gd造影像では全体に造影された.病理学的には腫瘍周辺部は豊富な血管構成成分を有し,内部は充実型の平滑筋線維であった.

掌蹠膿泡症性骨関節炎の1例―機序としての腸骨骨髄炎と術後血小板増加症について

著者: 関賢二 ,   上尾豊二 ,   三木堯明 ,   千束福司 ,   小谷博信 ,   原聖 ,   中川泰彰 ,   杉田光 ,   中川偉文 ,   池田慶裕

ページ範囲:P.195 - P.200

 抄録:掌蹠膿疱症性関節炎(Pustular Arthro-Osteitis,以下PAO)の1例を経験したので報告する.症例は39歳男性で,7年来の右腰背部痛,右股関節痛,右膝痛を主訴とし,歩行困難であった.股関節痛は保存的治療では軽快せず,人工股関節全置換術により軽快した.手術時に得られた股関節病変の病理組織より,股関節炎は腸骨骨髄の炎症が関節に波及して生じたと考えられた.
 また,手術侵襲によりPAOが急性増悪したために生じたと思われる,人工股関節全置換術の合併症としては極めて稀な,二次性血小板増加症を経験したので報告する.

バイポーラー型人工骨頭置換術後にbearing insertとstem headの間で脱臼を生じた1例

著者: 長野真久 ,   山本潔

ページ範囲:P.201 - P.203

 抄録:40歳男性のアルコール性大腿骨頭壊死に対してバイポーラー型人工骨頭置換術を施行した.術後10カ月目に飲酒をして転倒し,bearing insertとステムヘッドの間で脱臼を生じた.観血的にアウターヘッドとbearing insert,およびステムヘッドを交換したが,stopper ringの緩みや脱落,およびbearing insertの破損は認めなかった.転倒時に大腿骨が強制内転され,stemの頚部がbearing insertにインピンジし,テコの力によりステムヘッドが脱臼したと考えられた.術後に無防備な状態で転倒したり不良肢位をとる可能性がある症例では,脱臼の整復が容易なAustin-Mooreなどの一体型の人工骨頭の使用が勧められる.

バイポーラー型人工骨頭において,アウターカップのimpingementによりステムネックが削り取られた2症例

著者: 森下俊哉 ,   水野秀朗 ,   田中哲司 ,   山田高士 ,   東倉萃

ページ範囲:P.205 - P.208

 抄録:アウターカップの内反によりステムネックが削り取られたバイポーラー型人工骨頭の2症例を経験した.両者とも大腿骨頭壊死で人工骨頭置換術を施行した後,8年および10年で股関節痛を生じ,歩行困難となった.共に,アウターヘッドが内反位となっていた.全身麻酔下に人工股関節再置換術を施行,術中所見としては,臼蓋全般のmetallosisとosteolysisが著明であった.取り出された人工骨頭はHDP辺縁が摩耗し,アウターカップ辺縁がステムネック内側部を削り取っていた.まずアウターヘッドが内反位となり,ステムネックにあたる部分のHDPが磨耗し垂直化が増強した.1例では更にインナーヘッドにあたる部分のHDPが磨耗し,アウターヘッドのカップ辺縁がステムネックを削り取り,脱転を生じたものと推測される.

重度腰椎すべり症に対する整復・固定術の1例

著者: 麻田義之 ,   井戸一博 ,   伊勢健太郎 ,   中村孝志 ,   玉木茂行 ,   高木治樹 ,   高塚和孝 ,   清水克時

ページ範囲:P.209 - P.212

 抄録:今回われわれは,grade Ⅲの重度腰椎すべり症に対し,整復・固定術を行った.すべりの再発のため再手術を要したが,ほぼ完全な整復が得られ術前の症状も軽快した.手術は後方よりinstrumentationを用いて整復し,初回手術では後方より,再手術時には前方より椎体間固定を行った.重度すべり症に対しin situ fusionで好結果を得られるとの意見もあるが,術中所見では神経根がすべりにより強く牽引されており,症状改善のためには整復が必要との印象を受けた.神経学的合併症防止のためSEPモニタリング下に徐々に整復することにより安全に手術が行われた.
 また,重度すべり症では下位椎体,特に仙椎上面がドーム状変形を起こしている場合があり,確実な固定を得るために,そのことを考慮に入れて移植母床作成および骨移植を行うことが必要と考える.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら