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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科32巻2号

1997年02月発行

文献概要

視座

研究の手順

著者: 清水克時1

所属機関: 1岐阜大学医学部整形外科

ページ範囲:P.111 - P.111

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 研究をはじめるには以下のような手順を踏むのが良いと一般に信じられています.①研究課題をもらう,あるいは探して見つける.②この課題について現時点でどこまでわかっているか,知識を整理する.③先輩や指導者に相談し忠告をもらう.④文献を調べる.⑤研究計画を練る.⑥研究を進めながら繰り返し文献を読み,研究計画を検討,修正する.すなわち,十分な文献的検索を行った後,計画をたてて研究をすすめ,再び文献的知識により研究の方向を修正するという考えです.しかし,これまで私が師から学び,自分や同僚の研究生活を見聞し,自分が研究を指導した少ない経験から得たところでは,このような手順を踏むとオリジナルな研究が生まれることは少なく,逆に文献の森に足がすくんでしまって,挫折することのほうが多いように思われます.研究とは文献に書いてないことを発見し,それを文献にすることです.文献をいくらたくさん読んでも新しいことは生まれてきません.むしろ文献的知識が不足していたり,あるいは思い違いをしていて新しい発見が生まれることすらあります.研究は多くの場合計画通りには行きません.自分のめざしていた方向とちょっとはずれたところにある奇異な事象に気づき,それに素朴な疑問と興味をもつことから新しい発見が始まります.奇異な事象を見逃さないように,体を動かしながら感性を常にとぎすませておくことが必要です.先に文献を読みすぎると,このような感性が疲労困憊してしまうおそれがあります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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