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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科32巻4号

1997年04月発行

文献概要

特集 脊椎外科最近の進歩(第25回日本脊椎外科学会より)

椎間板と交通する脊柱管内嚢腫(椎間板嚢腫)―発生機序の考察と新しい疾患名の提唱

著者: 戸山芳昭1 鎌田修博1 松本守雄1 西澤隆1 小柳貴裕1 鈴木信正1 藤村祥一1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部整形外科

ページ範囲:P.393 - P.400

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 抄録:椎間板ヘルニア様症状を呈し,椎間板造影で当該椎間板と交通する脊柱管内嚢腫7例を経験したので,その臨床的特徴,発生機序,疾患の命名について報告した.本疾患の特徴は,①臨床症状は片側性単一神経根障害を示す椎間板ヘルニアに類似する.②好発年齢は青年層で,発生高位は一般のヘルニアよりやや頭側である.③当該椎間板の変性は軽度である.④椎間板造影で下肢への強い放散痛を認める.⑤嚢腫壁は線維性結合織より成り,内容液は血性から漿液性である.嚢腫発生は椎間板障害(線維輪断裂)が基盤にあり,peridural membrane下での出血→血腫形成→粘液変性→被覆化という機序によるのか,あるいは出血とは全く無関係に内圧の高い当該椎間板からの力学的負荷が何らかの役割を果たしているのか,二つの可能性が考えられる.この嚢腫は椎間板障害に起因し当該椎間板と交通して症状発現の主因を成していることから,椎間板嚢腫(discal cyst)という疾患名を提唱したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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