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連載 整形外科philosophy・2
医育の障壁―大学に問われているもの
著者: 辻陽雄1
所属機関: 1富山医科薬科大学医学部
ページ範囲:P.613 - P.615
文献購入ページに移動ここ十年来,文部省は大学改革の必要性を強調している.その外枠が大学大綱化と言われるものである.大綱化とは,大学が本来持っている自律と自立の精神に則って,国際化時代の要請にも応えることのできるよう,より良い高等教育の実現による人材育成の強化と,より高度な学問研究を推進することによって国際貢献ができるよう,自由にシステムを改造してよいという意味である.大学のこの自由化は,もとより大学の本来持っていなければならない自浄性に依存することはいうまでもない.残念なことに日本的心情として,古来の大学の管理者も「事なかれ主義」の域を脱していないようにも思えるし,少なくとも国立大学では,リーダーとしての見識とその論理を呈示し,それを具体化することを控えめにせざるを得ない事務官僚を含めての保身の術によって,「大過なきこと」を美徳と心得ていたきらいは無しとはしないように思われる.
一方,日本の大学の大多数が縦割り構造としての講座制をとっていて,横の繋がりに乏しいことも周知の事実である.そのような弊害を少しでも少なくする意味で大講座制がとられているが,実を伴うとは言いがたい.
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