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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科32巻6号

1997年06月発行

文献概要

手術手技 私のくふう

胸髄損傷後の𫞬性麻痺患者に生じた腰椎側弯変形の1治験例―くも膜下フェノール・ブロックの応用

著者: 尾鷲和也1 林雅弘1 伊藤友一1 大島義彦1

所属機関: 1山形大学医学部整形外科

ページ範囲:P.681 - P.684

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 抄録:症例は36歳男性.25歳時に第9胸椎脱臼骨折で,T10以下の完全麻痺となった.10年後,腰椎側弯変形と左坐骨部褥瘡を訴えて当科を受診した.左凸L2-5,32°の側弯がみられ,L4-5の変性が著しく,臨床および筋電図学的に右体幹・下肢の𫞬性が優位であった.腰椎可動性をできるだけ残し側弯を矯正する方法を模索し,透視下にイソビストと10%フェノール・グリセリン混和液によるくも膜下ブロックを行い,損傷レベル以下の右側の神経根を遮断して𫞬性を除去し,構築的側弯を呈しているL4-5間のみをSteffee法で矯正固定した.1年半で𫞬性の再発を認めたが,5年たった現在もその程度は比較的軽く,腰椎に側弯を認めず,褥瘡もなく経過良好である.本ブロックの歴史は欧米では古いが,本邦での𫞬性麻痺に対する報告はなく普及度は不明である,簡便,非侵襲的であり,𫞬性が障害になっている完全麻痺例一般にも広く試みられてよいと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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