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連載 整形外科philosophy・3
伝統医学と西洋医学―現代医学・医療の反省に寄せて
著者: 辻陽雄1
所属機関: 1富山医科薬科大学医学部
ページ範囲:P.693 - P.695
文献購入ページに移動国立大学で唯一の和漢薬研究所とこれまた一つしかない和漢診療学講座をもっている富山医科薬科大学に私は居る.和漢医学は中国伝統医学の流れをくむもので,5世紀ごろから19世紀当初頃までの長い間,わが国の医療の主流をなしていたものである.
明治時代には,政府はドイツ医学を積極的に採用する施策を採ったことにより,漢方医制度は崩壊してゆくが,この種の医療は主に民間医師によって行われていたのである.しかし,ここ四半世紀は東洋医学,特に中国系東洋医学としての漢方医学を再評価する気運が急速に高まったのである.いま近代西洋医学がめざましい進歩を示し,予防医学を含めた医療の質と量が急テンポで向上しているのに,何故いまさら伝統医学,とくに漢方医学が見直されなければならないのだろうか.その契機となった一つには,鍼麻酔というものが国際的関心を呼んだことにもよるが,最大の理由は,漢方治療が科学性において未熟で未解明の点が多々あることのほか,漢方医学と西洋医学の基本理念が大きく異なることに基づいて提起される,真の医療の在り方への反省であると私は考えている.
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