icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科32巻7号

1997年07月発行

雑誌目次

視座

整形外科医のsub-speciality

著者: 原田孝

ページ範囲:P.759 - P.759

 整形外科医は本来自分の中に持ちあわせているリハビリテーションというsubspecialityについて考えること少なく治療していると思われる.このように考えているのは小生だけであろうか.
 外傷・腫瘍・炎症は別として整形外科疾患の多くは加齢的変化,退行性変化を基盤としているためにその変化の速度を手術で減速させることは困難である.

論述

当科における平滑筋肉腫の検討

著者: 鈴木秀和 ,   小山尊士 ,   中村靖史 ,   彦根亮 ,   永井秀三 ,   今結黎篤弘 ,   三浦幸雄

ページ範囲:P.761 - P.764

 抄録:平滑筋肉腫は比較的稀な悪性軟部腫瘍であり,有効な補助療法は確立されておらず,転移,局所再発も多く治療に難渋する.そのため初期の病理学的確定診断と共に,治療においては十分な外科的切除が重要である.今回われわれは,平滑筋肉腫の8例を経験したので検討を加え,報告する,症例は男性6例,女性2例の計8例で,年齢は34~67歳.発生部位は大腿,下腿が各3例,殿部,鼡径部が各1例であった.初発症状は腫瘤形成6例,腫脹1例,疼痛1例で,発症より受診までの期間は1カ月~13年(平均4年1カ月)であった.TNM分類ではTONOMOが2例,TINOMOが1例,T2NOMOが3例,T2NIMIが2例であった.手術方法は広範切除4例(追加広切2例を含む),辺縁切除4例であり,術後化学療法および術後放射線療法は各4例に施行した.経過観察期間は平均2年2カ月である.成績はCDF4例,AWD1例,DOD2例,他因死1例であった.

脊椎疾患に対するpedicle screw fixationの合併症についての検討

著者: 村田雅明 ,   新宮彦助 ,   木村功 ,   那須吉郎 ,   塩谷彰秀 ,   米井徹 ,   福田文雄 ,   萱岡道泰

ページ範囲:P.765 - P.772

 抄録:脊椎疾患に対してpedicle screw fixationを施行した171例(男性95例,女性76例,16~75歳,平均53.4歳)の合併症について検討した.症例の内訳は変性疾患151例,外傷17例,腫瘍3例である.
 screw誤刺入は25例27本(27/770本,3.5%)であった.このうちscrewによる神経根損傷を4例に認め,2例では麻痺が残存した.screw折損は12例17本,7.0%に認めた.偽関節は術後6カ月以上追跡し得た141例中21例14.9%に認めた.clear zone出現例(30例62本)では偽関節の発生率が32.1%と高かった.深部感染は6例3.5%に発生した.

先天性内反足に対する後内側解離術の成績―臨床評価および骨アライメントの評価

著者: 斎藤伸 ,   北純 ,   船山完一 ,   佐々木仁行 ,   阿部義幸

ページ範囲:P.773 - P.776

 15例23足の先天性内反足に行ったTurco法による後内側解離術の成績を検討した.McKayの機能評価法では,14足(61%)で成績が不良であった.成績不良の原因は,足部の内転変形の残存が多かった.X線像とMR像により骨アライメントを評価すると,前足部,中足部,後足部のそれぞれが内転変形に関与していた.21足(91%)で,距腿関節窩との位置関係をみると踵骨が内側に偏位していた.これらの結果から,内反足解離手術では,距骨に対し舟状骨を,踵骨に対し立方骨を正確に矯正するばかりでなく,足関節軸と距腿関節窩に対し踵骨を矯正することが重要であると考えられた.

外傷性肩関節脱臼の初期治療

著者: 橋本俊彦 ,   藤原稔泰 ,   近藤亜里

ページ範囲:P.777 - P.782

 抄録:外傷性肩関節(初回)脱臼例を分析し,反復性への移行率と後遺障害を調査し,初期治療の有効性を検討した.これにより若年者の初回脱臼は早期に鏡視下にBankart lesionの修復を行うべきという最近の発表に反論を試みた.対象は当院で治療を行った初回脱臼78例78肩である.骨折の合併率は年齢と共に増加し,50歳代を頂点にして順次減少していた.10歳代の再脱臼率は40%,20歳代の再脱臼率は50%であった.50歳未満では初期固定の期間が長い程,再脱臼率は有意に低く,約半数は受傷前と同等に回復しており,残りは一部のスポーツ活動に支障があった.50歳以上では再脱臼は極めて少なく固定期間に無関係であったが,日常生活にかなり支障の残る例もあり,骨折や腱板断裂の合併が多いことが原因と考えられた,若年者の初回脱臼であってもまず保存療法を選択すべきで,早期の鏡視下修復術はその適応を限定すべきであると考える.

手術手技 私のくふう

遠位橈尺関節障害に対するmatched distal ulna resection(Watson法)

著者: 政田和洋 ,   藤田悟 ,   冨士武史

ページ範囲:P.785 - P.787

 抄録:遠位橈尺関節障害に対するmatched distal ulna resection(Watson法)の手術手技を紹介する.本法は三角線維軟骨構造などの手関節尺側の軟部支持組織(ulnar sling mechanism)を温存しながら尺骨遠位端を上下5-6cmにわたって骨膜ことに橈骨の尺側の弯曲に合わせて切除し,三次元的に術後の橈尺骨の接触を防止しようとするものである.

連載 整形外科philosophy・4

医学の進歩と臨床研究―その光と影

著者: 辻陽雄

ページ範囲:P.789 - P.791

●医学の進歩における倫理課題
 ここ四半世紀の医学の進歩はそのあらゆる分野において著しい.例えば,分子生物学や免疫学の分野では,従来の可視的な細胞生物学での視点を全く変えたといってよいほど繊細かつ広い.今まで分からなかった細胞の生命現象一つをとってみても,細胞が作る新しい伝達物質が数多く発見され,生命の維持,細胞の分化,死滅の機構,病気の成り立ちの新しい発見,形質や病気をかもし出す遺伝子の構造や特徴なども解明されるようになった.このような進歩は,やがて人の生命そのものや細胞の性格もコントロールできる技術を完成させ,多くの難病も克服できるときがくるであろうから,そこには医学研究の倫理がことのほか大きく問われる訳である.
 医学研究は仮説検証的であることを基本とし,興味本位であってはならないことはすでに述べた.しかし,研究の途上で予想だにしなかった発見は,しばしば飛躍的に研究を進展させる可能性を秘めており,決定的な新治療法の開発へと繋がりうる.将来の医療技術の中には,診断にせよ治療にせよ,おそらく「分子臨床医学」なるものが生まれてくるかも知れぬと私はひそかに予想する.

講座

認定医トレーニング講座―画像篇・11

著者: 池田和夫 ,   富田勝郎

ページ範囲:P.793 - P.795

症例:15歳,女性
 主訴:左手関節の疼痛,腫脹
 小学4年より飛び板飛び込みを始めた.小学6年時,左橈骨遠位端骨端線損傷を受傷しギプス治療を受けた.その後,飛び込み時に左手関節尺側にり疼痛および腫脹が出現し,思うように練習ができないため当科を受診した.

整形外科英語ア・ラ・カルト・56

整形外科分野で使われる用語・その23

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.798 - P.799

●hemolysis(ヒーモリスィス)
 これは“溶血”のことである.“he”の発音は“へ”ではなく,英語の代名詞“she”や“he”の“he”の発音は“ヒー”である.ドイツ語の“Hemolyse”(ヘモリーゼ)は,“リ”の処にアクセントがあるが,英語では“ヒモリスィス”と“モ”の処にアクセントがある.

ついである記・14

Casablanca

著者: 山室隆夫

ページ範囲:P.800 - P.801

●Bar Casablanca
 昭和一桁生まれの人であれば,大抵は「カサブランカ」という映画を見て若き日のイングリッド・バーグマンの清楚な美しさに魅了された想い出があるだろう.そのイングリッド・バーグマンももはや此の世の人ではないが,モロッコのカサブランカへ行けば,あの映画のシーンに出てくる「Bar Casablanca」で彼女に逢うことが出来る.ハンフリー・ボガードの演ずる青年リックがイングリッド・バーグマンの扮する美しい女性イルザと知り合って恋に落ちたのはパリであった.その後,何年かの歳月が流れて今は人妻となったイルザが,偶然,カサブランカのある酒場でリックと再会する.彼女は酒場の黒人ピアニストにパリでの想い出の曲である「As Time Goes By」をリクエストする.そして,リックとイルザの恋の想い出が再び蘇るというのが,この映画の出だしであった.この映画のロケが行われた酒場が,カサブランカのハイアット・リージェンシー・ホテルの1階に今もそのままの姿で営業されている.それがピアノ・バー「カサブランカ」である.そんなことは何も知らずに,私と家内は1994年の5月上旬にたまたまこのホテルに投宿した.前回少し書いたが,私達はマラケシュで開かれた汎アラブ整形外科学会のあと数日間モロッコ国内を旅行し,最後にカサブランカに住む私達の友人を訪ねるためにこの町へやって来たのである.

臨床経験

強直性脊椎骨増殖症に合併した腰椎椎体横骨折の1例

著者: 重信恵一 ,   橋本友幸 ,   江端済 ,   多田博 ,   大越康充 ,   竹光正和 ,   井上千春 ,   山根繁

ページ範囲:P.803 - P.806

 抄録:強直性脊椎骨増殖症に合併した稀なタイプの腰椎椎体骨折の1例を報告する.症例は75歳男性で,転倒後に腰背部を打撲,初診時仰臥位での著明な腰背部痛以外神経学的異常所見は認めなかった,単純X線像にて前縦靱帯の広範な骨化と第1腰椎椎体骨折があり,MRI上骨折線は椎体中央を横走するが後方支持組織損傷を認めなかった.本症例では後弯頂椎への直達外力の結果脊柱に伸展力が加わったが,posterior columnが蝶番として作用したため.骨粗鬆化した椎体を剪断する経椎体骨折(いわゆるreverse Chance骨折)が生じたと考えられる.

先天性膝関節脱臼の7例

著者: 深澤郁雄 ,   都谷治利 ,   日域淳一郎 ,   越智光夫

ページ範囲:P.807 - P.810

 抄録:先天性膝関節脱臼の7例を経験した.症例は男1例1膝,女6例8膝で,初診時年齢は生後1日から32日(平均8日),追跡調査期間は7カ月から11年5カ月(平均2年4カ月)であった.膝関節脱臼の分類はDrehmannの方法に従った.治療は全例保存的に行い,調査時に膝関節の前方動揺性の観点より検討を加えた.
 Drehmann分類の1度は5例7膝,2度は2例2膝であった.先天性股関節脱臼を4例に,外反扁平足を1例に認めた.外固定は平均21日行い,全例完全屈曲が可能になった.

膝関節周辺骨肉腫に対する手術療法,術後機能および合併症

著者: 鬼頭正士 ,   梅田透 ,   小山忠昭 ,   付岡正 ,   田原正道

ページ範囲:P.811 - P.817

 抄録:膝関節周辺に発生した骨肉腫22例(大腿骨遠位部16例,脛骨近位部6例)を対象とした.男性14例,女性8例,年齢は4~64(平均19.7)歳であり,surgical stageはII B 20例,III 2例である.切除法は関節内切除16例,関節外切除3例,切断3例であり,切除縁評価はcurative margin 13例,wide margin 9例であった.切除後の再建法は,Kotz人工関節14例,特注により作製した大腿骨遠位側人工骨頭1例,血管柄付腓骨移植1例,回転形成術3例である.術後合併症は遷延感染3例,腓骨神経麻痺3例,人工関節の埋没1例,膝蓋靱帯の断裂1例であった.術後機能評価は,1989年の機能評価法改訂案に従って行い,総合得点で7~26点(23~87%,平均60%)であった,術後経過期間は5カ月~7年6カ月であり,局所再発例はなかった.予後は生存19例(CDF17例,NED2例)であり,3例は肺転移を来し死亡した.

著明な外反膝変形を呈したDysplasia Epiphysealis Hemimelicaの1例

著者: 西山正紀 ,   半田忠洋 ,   二井英二 ,   山崎征治 ,   山田芳秀

ページ範囲:P.819 - P.822

 抄録:著明な外反膝変形を呈したDysplasia Epiphysealis Hemimelicaの1例を報告する.症例は4カ月検診時,左外反膝を指摘され当院紹介となった.X線像では,左FTA169°で,左大腿骨遠位と左脛骨近位の骨端内側に米粒大の石灰化像を認めた.その後,過剰骨は成熟し,外反膝変形は進行した.さらに病変は,左腸骨,左大腿骨頭核,左脛骨遠位,左距骨,左内側楔状骨にも明らかになった.2歳5カ月時,左FTA145°となり,脛骨近位骨切り術を施行した.本症例は,Azouz分類のgeneralized or severe formであり,手術適応,術式選択には注意を要する.

第1,2頚椎硬膜外腫瘤に対しlateral approachにて腫瘤摘出術を施行した1例

著者: 二村彰人 ,   藤吉文規 ,   杉本勝正 ,   余語鎭治 ,   奥田敏治 ,   千田博也 ,   中村隆昭

ページ範囲:P.825 - P.828

 抄録:症例は,67歳男性.1995(平成7)年2月頃より,箸が使いにくくなり,右上肢のしびれも出現したため3月14日当科受診.X線で環椎後頭骨癒合症を認め,MRIでは第1,2頚椎硬膜外腫瘤があり脊髄を前方から圧迫していた.6月初めに歩行困難となったため,当科入院となった,7月11日にlateral approachにて手術を施行した.胸鎖乳突筋の前縁に沿い,乳様突起の基部から後方に向かう皮切を加え,椎骨動脈を出し,環椎後弓と軸椎椎弓の一部を削り,顕微鏡下に硬膜を温存しつつ歯突起および軸椎椎体後方までたどり,腫瘍を摘出した.病理組織診断では,脊椎では稀な骨外軟骨腫であった.術後2カ月間ハローベスト装着,麻痺は徐々に回復し右の上下肢に軽度の知覚低下が残存するものの独歩可能であり,JOA scoreは術前の5点から13点となった.

肩峰下インピンジメント症候群を続発した三角筋拘縮症の1例

著者: 金治有彦 ,   小川清久 ,   浪花豊寿

ページ範囲:P.829 - P.831

 抄録:少量の筋肉内注射で発生し,肩峰下インピンジメント症候群を続発した三角筋拘縮症の1例を報告する.症例は48歳の女性.6回の筋肉内注射を受け,初回注射から3週間後に右三角筋後方の安静時痛が出現し,8カ月後内転時の肩峰下インピンジメントによる疼痛が生じた.MRIで三角筋内に1cm径の楕円形低信号域を認めた.三角筋部分切除,前肩峰切除術を施行し,術後1年半の現在,すべての症状は消失している.成人の三角筋拘縮症は少量の注射で発生することは稀であり,肩峰下インピンジメント症候群を続発した報告はない.本症成人例の特徴ともいえる疼痛の一因として,肩峰下インピンジメント症候群を念頭に置かなければならない.

椎弓切除術後30年で発症した椎弓再形成を伴う腰部脊柱管狭窄症の1例

著者: 松本卓二 ,   川上守 ,   竹島良知 ,   中村了生

ページ範囲:P.833 - P.836

 抄録:椎弓切除術後に発症する脊柱管再狭窄の報告は散見される1,2,5,7,8,10)が,再生椎弓による腰部脊柱管狭窄例の報告は稀である.今回,椎弓切除術後,30年で発症した椎弓再形成を伴う脊柱管狭窄症を経験し,手術治療にて症状の改善を認めたので報告した.

筋ジストロフィー症に続発した非随意性肩関節下方および多方向性不安定症の1例

著者: 小林慎二郎 ,   浜田一寿 ,   山田成 ,   福田宏明

ページ範囲:P.837 - P.839

 抄録:筋ジストロフィー症に続発した肩関節非随意性下方および多方向性不安定症の1例を経験した.
 症例は,38歳男性の三好型筋ジストロフィー症の患者である.24歳で発症し,その後車椅子の生活に入り,徐々に肩関節の不安定感を自覚した.36歳時に8kgの物を手にした時左肩が下方亜脱臼し,その後車椅子への乗降の際等に脱臼・亜脱臼を繰り返した.

腰椎に発生した多中心性類上皮血管腫の1例

著者: 久田原郁夫 ,   大和田哲雄 ,   大河内敏行 ,   佐藤巌 ,   米田稔 ,   山崎大 ,   小林晏 ,   山本利美雄

ページ範囲:P.841 - P.845

 抄録:稀な腰椎に発生した多中心性類上皮血管腫の1例を報告する.症例は19歳の男性で軽微な外傷後に出現した腰痛を主訴とした.画像所見は第3腰椎横突起の菲薄化と膨隆を示した.外科的切除の後,痛みは消失した.4年後に誘因なく腰痛が出現し,画像診断で第2腰椎椎体腫瘍と判明した,CT像は,椎体の膨隆と多胞性の辺縁硬化を伴う病変で画像診断による確定診断はできなかった.局所の動脈塞栓術の後,前方進入にて病巣掻爬,骨移植術を施行した.術後,40Gyの放射線照射を施行した.病理組織像は2つの病変とも同様で,多くの毛細血管,小血管が結節性に増殖し血管内皮細胞は上皮様の形態を示し,内腔へ墓石状に突出していた.腫瘍の間質は線維性で線維芽細胞が多く出現し炎症細胞浸潤や出血もみられた,以上の所見より多中心性の類上皮血管腫と診断した.術後2年の現在,局所再発は認めていない.

石灰化を伴って再発した胸髄髄膜腫の1例

著者: 荷田啓一郎 ,   土井田稔 ,   原田俊彦 ,   水野耕作 ,   尾崎昭洋 ,   園田万史

ページ範囲:P.847 - P.851

 抄録:症例は65歳女性である.1959年頃から両下肢の知覚鈍麻が出現し歩行不能となったため,1962年に当科入院した.胸髄腫瘍の診断で腫瘍摘出術を行った.組織学的にはpsammomatous meningiomaであった.術後経過は順調であったが、1989年頃から再び歩行困難出現し,胸髄髄膜腫再発の疑いで1996年当科入院した.単純X線像で第4胸椎レベルに石灰化陰影を認め,CT,MRIでも同レベルで腫瘍による脊髄の圧迫像が認められた.石灰化を伴った胸髄腫瘍と診断し,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は全て石灰化組織よりなり,病理組織的にはpsammomatous meningiomaの再発であった.髄膜腫の再発は一般的には4~13%と報告されているが,本症例のように30年以上もの期間をおいて再発し,しかも単純X線像上で石灰化像を認めた報告はなく,極めて稀な1例と考えられる.

Granular Cell Tumorの2例の治療経験

著者: 芦沢修一 ,   古府照男 ,   高安浩樹 ,   立花利江 ,   亀田典章 ,   蛭田啓之 ,   土谷一晃 ,   茂手木三男

ページ範囲:P.853 - P.856

 抄録:比較的稀とされるgranular cell tumorの2例を経験した.症例1:41歳,女性.主訴・前腕軟部腫瘤.1990(平成2)年右前腕伸側に小腫瘤が出現し徐々に増大したため,1994(平成6)年5月当科を受診した.切除生検にて顆粒細胞腫と診断され,伸筋の一部を含めた広範切除術,遊離皮膚移植術を施行した.切除縁評価はwide 2cmであった.術後21カ月の現在再発なく,ADLに支障はない.症例2:48歳,女性.主訴・季肋部腫瘤.1995(平成7)年3月頃から腫瘤が徐々に増大し,近医にて単純摘出術を受けたが病理組織学的に顆粒細胞腫と診断され,当科受診された.同年11月13日広範囲切除術を施行した.切除縁評価wide 2cmであった.顆粒細胞腫は周囲組織との境界が不明瞭であることが多く病理組織学的に良悪性の判定が容易でないことから,術後機能支障がなければwide marginでの切除術を選択することが望ましいと考えられた.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら