icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科32巻8号

1997年08月発行

文献概要

ついである記・15

Marseilleとその周辺

著者: 山室隆夫12

所属機関: 1京都大学 2国際整形災害外科学会

ページ範囲:P.916 - P.917

文献購入ページに移動
 ●偏見の少ないフランス人
 以前にも書いたが,フランス語は国際語として日本人が想像する以上になお広く使われているし,また,私の知る限りでは,フランス人の自国の文化に対する強い誇りは昔も今もあまり変わっていないように思われる.しかし,彼等が他国の文化を低くみる一種の偏見である中華思想を強く持っていると考えるのは全く当たっていないと私は思っている.
 私と家内が初めてパリを訪れ,当時高名であったジュデー教授の病院に寄宿させていただいたのは昭和37(1962)年の6月であった.当時,フランス人を評して「彼等は気位が非常に高くてフランスが世界の文化の中心だと信じているので,英語で話しかけると意味が解っていてもわざと返事をしないのだ」などと言われていた.事実,私達も言葉が通じなくて苦労をしたものだが,その当時はフランスの一般庶民で英語の喋れる人は大変少なかったので,上記のような誤った評価がなされたのではなかろうか.その後,私は十数回に亘ってフランスを訪ねる機会があったが,今では,フランス人の他国人に対する偏見の少ないことにむしろ驚ろいているほどだ.勿論一概には言えないが,フランス人はアメリカ人,イギリス人,ドイツ人などよりも他国で育った科学や文化を正当に評価しようとする姿勢を強く持っているように私には思える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら