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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科32巻9号

1997年09月発行

文献概要

臨床経験

重篤な麻痺を免れた第3胸椎後方脱臼骨折の1例

著者: 山梨晃裕1 村田英之1 串田一博1 山内秀樹1 井上哲郎1

所属機関: 1浜松医科大学整形外科

ページ範囲:P.1045 - P.1048

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 抄録:症例は24歳,男性.乗用車運転中に対向車と正面衝突し受傷した.初診時,背部痛や四肢の麻痺はなく,乳頭の高さに帯状の知覚低下を認めた.胸椎斜位X線像で第2胸椎椎体前縁が第3胸椎椎体後縁の延長線上に後方転位していた.MR像では,脊柱管は第2胸椎高位で後方に転位し,第2/3胸椎椎間高位で拡大していた.CT像では,第3胸椎椎体の椎弓根付着部近傍での骨析,右第3/4胸椎椎間関節脱臼,左第3胸椎下関節突起骨折を認めた.受傷後2週間で観血的整復術を施行し,Harrington法にて後方固定した.本症例の受傷機転は,合併損傷などから推測すると通常いわれている後方よりの外力ではなく,脱臼部より上位に前方から外力が加わり過伸展を強いられた可能性が高い.脊柱管の転位にかかわらず重篤な麻痺を免れたのは,骨折により脊柱管が拡大した,生理的後弯部位が過伸展したため脊髄に牽引力が強く作用しなかった,生来脊髄に比し脊柱管が広かったなどの要因があったためと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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