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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科33巻12号

1998年12月発行

文献概要

視座

整形外科と生体医工学

著者: 安田和則1

所属機関: 1北海道大学医学部生体医工学講座

ページ範囲:P.1355 - P.1355

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 最近,「整形外科を研究するための方法として,生体医工学はもう時代遅れです」と忠告をしてくれた米国留学帰りの若い先生がいた.この忠告の根拠は,米国における整形外科関連の研究費の獲得し易さに関する近況からきているようだ.米国におけるそれは,研究方法における「流行(はやり)」を映している.約10年前の米国では生体医工学がその「流行」であり,萌芽的研究でも研究費を貰えたが,最近では価値ある結果を出さなければ研究費を獲得し難くなったというのは事実である.しかし,見方を変えると,これは生体医工学が整形外科の基礎研究を行うための方法として成熟したことを意味している.成熟した学問領域では,当然,方法よりも結果の真の価値が各研究ごとに厳しく問われることになる.この忠告者の勘違いは,研究方法における「流行」と研究の真の価値とを混同したことにある.もっとも日本での研究費の獲得に関しては,幸いこのような「流行」の影響は少ないようで,方法にかかわらず発展的に実績を残す研究を継続していれば,さして問題はない.
 ところで,この類の忠告があちこちでなされているのか,整形外科研究における生体医工学の将来に対して悲観的になっている若い研究者が,最近増えているようにも思える.そのような方は,生体医工学がどのような学問領域であるかを,もう一度考えてみることを勧めたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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