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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科33巻4号

1998年04月発行

文献概要

特集 脊椎外科最近の進歩―OPLLを中心として―(第26回日本脊椎外科学会より)

頚椎ForaminotomyとLuschka関節切除が椎間安定性に及ぼす生体力学的効果

著者: 小谷善久1 鐙邦芳1 金田清志1

所属機関: 1北海道大学医学部整形外科 2 3

ページ範囲:P.535 - P.541

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 抄録:人屍体標本を用いて,頚椎Luschka関節と前方foraminotomyが椎間安定性に及ぼす効果,さらにそれらが前方椎間固定に及ぼす影響を検討した.Luschka関節を左右各3区画ずつに分割し,その各段階的切除後に軸回旋,屈曲,伸展,側屈負荷による生体力学試験を行った.その結果,椎間安定性に及ぼすLuschka関節の役割は後方部分ほど大きく,その主な効果は伸展,側屈,軸回旋の制動であった.片側,両側のforaminotomyは椎間の伸展安定性をそれぞれ30%,36%減少させた.側屈安定性は両側foraminotomyあるいは椎弓根軸より前方部分の後方半分の切除でそれぞれ34%,18%剛性が低下した.椎間高位によるLuschka関節の形態的違いは椎間安定性に反映しており,C3/4椎間でC6/7椎間に比べLuschka関節の軸回旋に対する制動効果が大きかった.polymethylmethacrylate(PMMA)を用いた前方椎間固定の安定性は,foraminotomyの各段階で減少したが,移植骨高を79%増加させることでforaminotomy前に復帰した.腰椎,胸椎の椎間安定性の評価とは異なり,頚椎安定性を考える場合は前方椎間安定要素としてのLuschka関節の重要性に注目すべきである.脊椎腫瘍,外傷,脊椎手術等でLuschka関節が破壊された場合の椎間安定性は多方向性に損なわれ,特に伸展,側屈安定性への影響が大きいといえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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