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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科33巻5号

1998年05月発行

文献概要

論述

脊髄腫瘍手術に伴う神経根切除後の神経脱落症状の検討

著者: 山下敏彦1 竹林庸雄1 横串算敏1 三名木泰彦1 金谷邦人1 石井清一1

所属機関: 1札幌医科大学整形外科

ページ範囲:P.603 - P.608

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 抄録:脊髄腫瘍手術に伴い,上肢および下肢機能に関連する神経根を切除した20症例(男性13例,女性7例)について,術後の神経脱落症状の有無と回復経過を調査した.術後3例に運動機能の悪化が,6例に知覚の悪化が出現し,神経脱落症状の発生率は45%であった.運動機能が悪化した3例は,術後4~8ヵ月で正常筋力に回復した.一方,知覚障害は長期間残存する傾向にあった.術前の筋電図検査で罹病神経根支配筋に脱神経電位を認めた1例で,術後運動機能が悪化した.脱神経電位を認めなかった5例では,運動機能の悪化は起こらなかった.
 神経根を切除しても神経脱落症状が発生しないメカニズムとして,1)上・下肢の筋の多くが多重神経支配を受けていること,2)腫瘍神経根の支配筋では,隣接神経終末からのsproutingにより代償性神経支配が成立することなどが推測される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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