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ついである記・24
Prahaの春
著者: 山室隆夫12
所属機関: 1京都大学 2国際整形災害外科学会
ページ範囲:P.752 - P.753
文献購入ページに移動日本人の多くが東欧諸国といえばポーランド,チェコ,ハンガリー,旧ユーゴスラビアなど,かつて共産圏に属したすべての国々を指すものと莫然と考えているようであるが,これらの国の人々は自分達の国を東欧諸国と呼ばれるのを好まない.それは地理的な認識からだけではなく,彼等にとっては東欧諸国とはウクライナ,ルーマニア,ブルガリアなど西欧化の進んでいない貧しい国々を意味するからだ.特に,チェコの人々にはその気持ちが強いようだ.例えば,私の古い友人であるプラハのマテヨウスキー教授は「チェコはヨーロッパの中心に位置し,首都プラハはウィーンと較べて200kmも西側にあるのだから,チェコを東欧諸国の1つであると考えるのは全くの誤りだ」と屢々強調する.地図を開いてみると,なる程,彼の言う通りだ.ウラル山脈以西をヨーロッパと呼ぶなら,チェコはその中心よりもかなり西側に位置している.このような理由から,チェコ,オーストリア,ハンガリーなどの位置する地域を呼ぶ時には「中央ヨーロッパ」というのがよいと思われる.これらの国々はさすがヨーロッパの中心に位置するだけに,古い歴史と深い文化を持っており,その首都であるプラハ,ウィーン,ブダペストはそれぞれに独特の澁く美しい輝きを放っている.
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