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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科33巻9号

1998年09月発行

文献概要

臨床経験

後腹膜腔に巨大血腫を形成した腰椎多発横突起骨折の1例

著者: 柳下信一1 北野喜行1 堀本孝士1 砂山千明1 長浦恭行1 井村弥寿子1 角田清志2

所属機関: 1市立砺波総合病院整形外科 2市立砺波総合病院放射線科

ページ範囲:P.1129 - P.1132

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 抄録:腰動脈損傷を伴い,後腹膜腔に巨大な血腫を形成した腰椎多発横突起骨折の1例を経験したので報告する.症例は,自宅2階のベランダより誤って転落,地面の庭石に左腰背部を強打し,腰部は過伸展位となった.搬送時には意識清明であったが,入院後出血性ショックを来した.CTにて後腹膜血腫と血管造影にて左第4腰動脈損傷が認められたため,TAE(transcatheter arterial embolization)を施行し良好な結果を得た.今回の横突起骨折および腰動脈損傷の発生機序としては腰部へ作用した過伸展力が考えられた.腰動脈損傷例では搬送時に出血性ショックを来す場合が多く,大量の輸血を必要とするが,治療上TAEは有効である.本例での横突起骨片の転位は極めて大きく,後腹膜腔の巨大な血腫を示唆するものと思われた.したがって,今後こうした症例では腰動脈損傷を疑うことは重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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