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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科33巻9号

1998年09月発行

文献概要

臨床経験

前腕に発生し正中神経麻痺を呈したtenosynovial osteochondromatosisの1例

著者: 古田和彦1 面川庄平1 水本茂1 岩井誠1 玉井進2

所属機関: 1奈良国保中央病院整形外科 2奈良県立医科大学整形外科

ページ範囲:P.1153 - P.1156

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 抄録:tenosynovial osteochondromatosisの多くは手指伸筋腱・屈筋腱に発生する.今回われわれは,前腕における指屈筋腱に発生し,正中神経麻痺を合併した極めて稀な1例を経験した.症例は53歳女性.主訴は右手前腕屈側部の腫瘤および第1~3指の痺れであった.単純X線にて手関節から第3中手骨にかけて粟粒大の石灰化を多数認め,MRIにて前腕から手掌に及ぶ深指屈筋腱周囲に実質性腫瘍が確認された.電気生理学的検査では正中神経の伝導遅延を認め,特に前腕遠位部の腫瘍を挟んだ部位で伝導遅延が明らかであったことから通常の手根管症候群による麻痺ではないことが判明した.腫瘍摘出,滑膜切除術を施行した.腫瘍は手関節を越えて手根管内にまで及んでいた.病理所見では滑膜線維組織内に多数の軟骨組織と骨組織を認めた.以上の所見から腱鞘滑膜骨軟骨腫症と診断した.痺れは完全に消失し,再発もなく経過は良好である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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