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臨床経験
腓腹筋内に発生したガングリオンの2例
著者: 前田啓志1 矢野悟1 山田昌弘1 箱木知也1 板倉良友1 本田久樹1
所属機関: 1市立加西病院整形外科
ページ範囲:P.67 - P.71
文献購入ページに移動症例は8歳女児と64歳男性で,主訴はいずれも下腿内側部の腫瘤であった.2例とも皮膚との癒着はなく,深部との可動性はなかった.矢状面T2強調MR画像では筋肉内に境界明瞭な紡錘状の,横断面では円形のhigh signalの陰影を認めた.術中,腓腹筋内側頭内に多房性腫瘤を認め,中枢端は腱内に終わり,末梢端は筋肉内で盲端となっていた.病理組織像では,筋膜と付着した多房性の嚢胞を認め,壁は線維性結合組織よりなっていた.筋肉内ガングリオンは,1952年にBrooksが最初に報告し,本邦では殿谷の報告以来自験例も含め46例であり,うち腓腹筋内発症は13例であった.本症例においては,軽微な外傷あるいは機械的ストレスを契機として粘液様変性を呈しながら腓腹筋腱内より腓腹筋内へと拡大していったものと考えられた.
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