icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科34巻5号

1999年05月発行

文献概要

臨床経験

𦙾骨近位部の内軟骨腫から悪性転化した脱分化型軟骨肉腫の1例

著者: 粟森世里奈1 土屋弘行1 北野慎治1 富田勝郎1 前野紘一2 野々村昭孝3 野島孝之4

所属機関: 1金沢大学医学部整形外科学教室 2加賀中央病院整形外科 3金沢大学医学部臨床病理部 4金沢医科大学中検病理

ページ範囲:P.639 - P.642

文献購入ページに移動
 抄録:脱分化型軟骨肉腫は高悪性度の肉腫組織と,内軟骨腫,または低悪性度の軟骨肉腫などの軟骨組織が共存する悪性度の高い,かつ稀な腫瘍である.われわれは,内軟骨腫から悪性転化したと思われる本症を経験したので報告する.症例は78歳女性で,右下腿の疼痛を主訴として当科を紹介されて受診し,単純X線像,MRIなどの画像所見から,右𦙾骨の高悪性の軟骨肉腫と診断し,腫瘍切除および人工関節による再建を施行した.切除標本の病理診断は脱分化型軟骨肉腫であり,内軟骨腫様組織と悪性線維性組織球腫様組織が境界明瞭に接していた.また,当科受診の5年前の単純X線の所見では内軟骨腫の典型像を呈していた.以上より,内軟骨腫に脱分化が起こったと推測された.単発性の良性軟骨腫瘍は可能性は低いが,悪性化を念頭に置いて慎重な経過観察をすることが望ましい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら