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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科34巻5号

1999年05月発行

文献概要

臨床経験

耕耘機の刃にまきこまれ受傷した外傷性股関節上方脱臼の1例

著者: 三井勝博1 谷川浩隆1 鈴木卓2

所属機関: 1安曇総合病院整形外科 2信州大学医学部整形外科

ページ範囲:P.647 - P.649

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 抄録:耕耘機の刃にまきこまれ受傷した外傷性股関節上方脱臼の1例を報告する.症例は57歳の男性で耕耘機の刃が左下腿遠位につきささり,下肢全体に強い外旋力が強制され受傷した.初診時,右腸骨部から大腿にかけて2個のかぎ裂き状の切創があり,耕耘機の刃が左足関節内側でアキレス腱の前方からつきささっており,左下肢は軽度短縮外旋位を呈していた.単純X線像で左大腿骨頭は外上方に脱臼していた.全身麻酔下に創の洗浄縫合と脱臼の徒手整復術を行った.本症例は下腿への強い外旋力強制が股関節に介達し,腸骨大腿靱帯を軸に前方脱臼が生じ,その緊張により外上方への転位が生じたのではないかと推測した.外傷性股関節脱臼のほとんどが後方脱臼であり,前方脱臼しかも上方脱臼は全外傷性股関節脱臼の約1%でしかない.前方脱臼は後方脱臼と比較して予後は良好であるが,早期にCTや断層撮影などで微細な骨折を見つけるための精査が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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